資本提携を正式発表 ダイイチとイトーヨーカ堂
ヨーカ堂が３０％出資
１６億円、店舗資金に ダイイチ
管内大手スーパーのダイイチ（帯広、鈴木達雄社長）は２３日夜、セブン＆アイ・ホールディングスの子会社である総合スーパーのイトーヨーカ堂（東京、亀井淳社長）と資本・業務提携すると正式発表した。ヨーカ堂を引受先として、総額約１５億９８００万円の第三者割当増資を８月に行う。ヨーカ堂はダイイチの発行済み株式総数の３０％を所有、取引先持株会（募集後４・０７％）に代わり、筆頭株主となる。
ダイイチが新たに普通株式１７１万６０００株を発行、ヨーカ堂が８月２６日に全株引き受ける。調達資金は全額、新店舗建設資金に充てる。札幌市清田区（開店予定１１月上旬、５億８０００万円）や音更町（同１１月中旬、４億７０００万円）などが計画されている。
今回の提携では、資金面の他、商品の共同調達による原価低減及び共同開発よる集客力の向上や物流・インフラの相互活用などに取り組む。提携に関してダイイチ側は「道内における強固な経営基盤の構築を通じ、店舗網拡充、経営効率化及び競争力強化を図る」、ヨーカ堂側は「北海道地区での食品小売分野の事業基盤強化を図る」とコメントしている。
道内ではアークス、イオン、コープさっぽろの“３強”による小売業者の吸収合併や寡占化が進んでいる。ダイイチは、対抗軸として同じく十勝管内で展開する食品スーパー・いちまる（帯広、加藤祐功社長）と１１年に資本・業務提携を結んでいる。今回、全国大手との提携で、経営基盤や競争力を一層強化することで、３強に対抗していく姿勢を示したものとみられる。（植木康則）
最適のパートナー
１０００億円体制確立へ 両社社長会見
２４日のダイイチとイトーヨーカ堂の資本・業務提携の記者会見にはダイイチの鈴木達雄社長、イトーヨーカ堂の亀井淳社長らが出席した。主なやりとりは次の通り。（犬飼裕一）
－提携の経緯について。
鈴木氏 昨夏からの道内での事業展開、スーパーマーケットの運営に関する意見交換の中で、両社の企業風土、事業の考え方が近いと共通認識を持った。「最適のパートナー」との結論に至り、今回の提携に至った。ヨーカ堂に約３０％の割当増資を受けてもらうことになった。筆頭株主であると同時に、私どもの「運用適用会社」になる。
－提携の効果は。
鈴木氏 セブン＆アイグループのすべてのマーチャンダイジング（商品政策）を引き出し、道内での仕入れ強化、新商品開発、共同仕入れによる原価低減、物流などインフラの統合、資材・備品の共同購入によるコストダウン、人材交流による情報の共有化などのシナジーを期待している。
亀井氏 資本参加はヨーカ堂の経営資源に加え、ダイイチの持つ、道内にしっかりと根を張った経営基盤を共有化させてもらい、北海道地区で食品営業の早期１０００億円体制を確立していきたいとの考え方が一致した。将来はセブン＆アイのグループ力を最大限に発揮してシナジー効果を追求していく。
－ＰＢ（プライベートブランド）商品も扱えるようになるのか。
亀井氏 グループの総力を挙げて、ダイイチとあらゆる情報を共有化したい。カードや銀行ＡＴＭ、物流体制の統合システムも含めて。ＰＢは今後検討していくが、ダイイチの意向も受けて前向きに考えていきたい。
－資本・業務提携するいちまるとの関係は。
鈴木氏 昨年共同仕入れをして、共同配送、仕入れの一本化を進めてきた。ちょうど１年がたち、今後もいちまるとの連携は同じように進めていきたいと考えている。関係は何ら変わらない。
－十勝での仕入れ先の見直しについては。
鈴木氏 自主独立路線は変わらないが、一緒に仕入れするメリットがあれば、地元の色々なことを配慮し、ケースバイケースで対応していきたい。
－今後も同様の提携はあり得るのか。
亀井氏 まずはダイイチとの効果を上げることに最大限の努力をする。それから一緒にやりたいという企業があれば方向性、企業風土が合い、企業精神、企業理念が合致すればケースバイケースでダイイチと相談しながら進めたい。
－道内で食品売上高１０００億円体制のめどは。
亀井氏 （現状）ダイイチと合わせて食品では７００億円強～８００億円の間。個々の店の売り上げを上げる、お店のロイヤルティーを上げて早く持って行きたい。時期は未定だが、２、３年後にはそういう体制にしたい。
