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不便 不安いつまで病院休診相次ぐ

多くの病院が6日の休診を決めたが、窓口に問い合わせに来る患者の対応に追われた(帯広協会病院)

 管内全域の停電を受け、帯広市内の総合病院は6日、外来診療の休止を相次いで決定した。帯広厚生病院と帯広協会病院、北斗病院、帯広第一病院、開西病院は外来診療と予約検査の休止を決定。協立病院は内科、整形外科、リハビリなどで診療を実施した。

搾乳できず、農業に打撃 薬処方制限、検査もできず
 各医療機関では6日、休診を知らずに来院した患者の対応に追われた。帯広協会病院で休診を利用者に説明した菅原昭洋事務部次長は「(休診を決めても)患者の皆さんに知らせる手だてがなく困っている。停電が長引くと入院患者の食事の心配が出てくる。早く復旧してほしい」と話した。

薄暗い店内で、買い物客の接客に追われるコンビニの店員(6日午前3時50分ごろ、帯広市大通南28丁目で。金野和彦撮影)

 市内の総合病院は、多くの病院が急患と、薬の処方が必要不可欠な人のみに対応。診療を実施した協立病院でもカルテは作成できず、薬の処方が制限された。一方、音更町では帯広徳洲会病院と音更宏明館病院が通常通りに診療を実施したが、一部の検査で実施できないものがあった。

 福祉施設では、市内の地域密着型介護老人施設コムニの里みどりケ丘が、地震発生後に緊急連絡網で管理職が集まり、入居者の安全を確認した。市内でデイサービスを行う事業所では、エレベーターが止まって施設内の移動が困難なため、受け入れを中止するところもあった。

芽室の公営住宅で飲料水とトイレ排水用の水を配布する町職員

「停電続くと乳廃棄も」 農家に発電機貸し出す
 地震による明け方からの停電は、搾乳や搾った生乳の保管で電力を使う酪農家を中心に、管内農業に広く影響を与えた。経産牛60頭を飼育する本別町西美里別の古澤元基さん(30)は、昨夜搾った分も含め、バルクタンクに2000リットルほどの生乳が入っている。「このままだと廃棄も考えなくてはいけない。今朝も搾乳できず、牛への負荷も心配だ」と気をもむ。

 JAは発電機の貸し出しでなんとか対応している状況。JA忠類は「10台の発電機でやりくりしているが、現場は非常に混乱している」とする。幕別町忠類の岩谷史人さん(55)は発電機を借りて搾乳はできたが、工場も停電でストップしている。「廃棄しなければならないなら非常につらい」と話した。

 一部地域での断水も影響が大きい。池田町富岡地区の酪農家川本一見さん方では、午前8時ごろに町から飲料水60リットルが配布された。ただ、水がないと搾乳設備の洗浄はできず、妻の弓香子さん(56)は「このまま水が使えないと牛の乳房炎が心配。早く復旧してほしい」と望んだ。

 JA幕別町は野菜の出荷も懸念する。「停電でダイコンやニンジン、バレイショなどの選果場、大型冷蔵庫が機能していない。農作物は苫小牧港に運ぶが、道路規制などを含めて確認中。長引けば影響は大きい」と心配している。

池田町富岡地区の酪農業川本さん方に給水袋を配布する町職員(6日午前8時ごろ)

池田などで断水続く 市内排水詰まり注意を
 十勝管内では6日午前9時現在、一部の地域で断水が発生している。大樹町では開進、大光地区の計4戸で、各戸に水を送るためのポンプが停電のため機能しておらず、ポリタンクによる給水を行った。池田町も同様の原因で、高台付近にある住宅を中心に約45戸で断水しているため給水袋に入った水を配布した。

 幕別町では札内、忠類地区で一時断水が発生したものの午前6時までに復旧した。帯広市内では別府配水池の遮断弁が地震の揺れで自動的に作動し、西帯広地区で水道水が出づらい状況となっていたが、午前4時半までに復旧した。マンションなど地下の受水槽から各戸にポンプで水を送る住宅では、停電の影響で断水が続いている。

 このほか、帯広市内では下水を流すために設置している33カ所のマンホール・ポンプが停電で停止している。順次、発電機でポンプを動かしたり、下水道管にたまった汚水をバキューム車で吸引するなどしているが、停電が長期化すれば排水やトイレの水が流れづらくなることが予想される。このため市では、排水を必要最小限にとどめるよう協力を呼び掛けている。

断水のうわさ否定 帯広市
 帯広市内で「この後、断水する」とのうわさが6日午前、SNS上などで広がっている。これに対し帯広市は「根拠のないもので、断水の予定はない」と注意を呼び掛けるコメントを公表した。

大半の小・中・高休校 図書館など施設も
 十勝教育局によると、管内の公立・私立高校、特別支援学校は6日の全校臨時休校を決めた。

 小・中学校は浦幌町、陸別町、大樹町は通常通りの登校を予定しているが、大樹町については給食センターの電気が回復しなければ3時間での下校となる。この他の市町村の小・中学校は全校臨時休校となる。

 臨時休校を受け、帯広市内の児童保育センターは農村地区を除き、午前7時45分から実施。保育所も通常通り開所した。

 十勝私立幼稚園連合会に加盟する園は大半が臨時休園したが、一部の認定こども園では預かりを行った。 帯広市によると市民文化ホール、市図書館、百年記念館、動物園、とかちプラザ、各スポーツ施設等は休館・休園した。

修学旅行の出発取りやめ
 音更木野東と広尾の両小学校は6日に予定していた札幌方面への修学旅行の出発を取りやめた。

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