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陸別百年新聞「しばれ日本一 熱いまちづくり」

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オーロラ、鉄道…未来へ
 十勝東北部の北端、小さくても輝きのある陸別町。1919(大正8)年、足寄郡3村から分離した「淕別村」に戸長役場が設置され、今年で開町100年を迎えた。冬に氷点下30度近くになる“日本一寒い町”は、開拓期から常に住民の知恵と努力によって課題を乗り越えてきた。7月末の住民基本台帳による人口は2400人。未来を担う子どもたちの笑顔がまぶしい。

 陸別の名はアイヌ語の「リクンベツ」(高く上がっていく川)に由来する。

 十勝管内で7番目に広い大地(609平方キロメートル、うち森林8割)の中央を南北に利別川が流れる。町花「福寿草」が告げる春を抜けると、夏は「夏日」の出現回数が十勝平均より多い30日以上というデータもあり、過ごしやすい。

 一方、冬は、市街地が山に囲まれた盆地形状ということもあり、寒さが厳しい。2016年11月、役場職員空井猛寿さんらが学術論文の形で「日本一寒い陸別町」を証明している。07年から10年間の厳冬期の日最低気温の平均は氷点下18・9度、年最低気温の平均は氷点下28・2度。まちづくりは寒さとの闘いでもあった。

 町史によると、開町した年に4306人いた人口は、1959年の8897人をピークに減少。町の活気が失われるという危機感から、商工業者ら町民有志が発想を転換し、寒さを貴重な財産ととらえた。現在に続く「しばれフェスティバル」など全国レベルの事業が生まれ、日産自動車の寒冷地試験場誘致にもつながった。

 「星空の街」「オーロラの町」から転じた銀河の森天文台の整備、廃線した「ふるさと銀河線」を動態保存して活用した「りくべつ鉄道」も地域資源を生かした実例だ。

 農業分野では安定した寒地酪農を確立。2017年度のJA陸別町(西岡悦夫組合長、組合員113人)の生乳生産量は4万トン台を維持し、農畜産物総販売額は過去最高の59億2800万円を記録している。

大型望遠鏡「りくり」と銀河の森天文台の職員。開館20周年を迎え、今後も星と宇宙をテーマに多彩な情報を発信していく

星空への入り口 20周年~宇宙地球科学館・銀河の森天文台
 1998年7月7日、まちを望む小高い銀河の森(陸別町宇遠別)に、「りくべつ宇宙地球科学館」(愛称・銀河の森天文台、上出洋介館長)が産声を上げ、今年で開館20周年を迎えた。

 陸別町は87年度に環境庁(当時)の「星空の街」に選定され、89年には日本で初めて低緯度オーロラのカラー撮影に成功した地。「人を呼び込む常設の施設を」。金澤紘一町長(当時)の下、現教育長の野下純一さんら職員が奔走し、開設にこぎ着けた。

 口径115センチの大型反射望遠鏡「りくり」などを備え、四季を通じてさまざまな天体を観測できる。オーロラや宇宙のパネルを展示、プラネタリウム、各種観望イベントも展開し、天文ファンを引きつけてやまない。

 同天文台の中島克仁技師(47)は、「街明かりの影響が少なく、星がよりきれいに見える好立地。銀河の森天文台で見た星空をきっかけに『天文学者になりました』という人が現れるとうれしい」と語る。

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