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暗きょをリフレッシュさせる「補助暗きょ」 -その特徴と持続性-

道総研 中央農業試験場 農業環境部 環境保全グループ

1.試験のねらい
 道営土地改良事業では、暗きょの排水機能が低下した場合、暗きょを再整備するのではなく、補助暗きょを整備して暗きょの排水機能を回復させる。事業による補助暗きょの工法としては、溝を掘削して疎水材のみを充填する有材補助暗きょと、大型心土破砕機(パンブレーカ)を施工する無材補助暗きょがあり、本試験ではこれら工法の特徴や効果の持続性について明らかにした。

2.試験の方法
1 )補助暗きょの施工後における排水状況や土壌調査を同一圃場で4ヶ年継続し、補助暗きょ施工による排水機能回復効果と補助暗きょの特徴について検討した。
2 )補助暗きょの施工部(有材補助暗きょは埋設した疎水材、パンブレーカは破砕刃により形成される土壌中の亀裂)の経年変化を調査し、排水機能の持続性について検討した。

3.試験の結果
1 )無機質資材を疎水材とした有材補助暗きょの施工により補助暗きょ疎水材と本暗きょ疎水材が確実に接続され、経年に伴う疎水材の腐朽による断面減少は認められなかった。施工により補助暗きょ周辺の土壌物理性が改善し圃場の排水性は良好となったが、その後は補助暗きょ埋戻し土部分や作土下のすき間が少なくなり圃場の排水性は低下した(表1)。
2 )パンブレーカ施工直後の圃場では、施工深度までの土層全体が膨軟で土壌物理性は良好であった。その傾向は施工後3年においても維持されており(表1)、圃場の排水状況も良好であった。
3 )パンブレーカ破砕刃間は下層土が徐々に堅密化する傾向が認められたが、40cm 深度まで膨軟な状態を維持しており、生産者による心土破砕などの適切な営農管理が影響しているものと思われた(図1)。
4 )有材補助暗きょは疎水材を用いることで本暗きょ疎水材までの安定した水みちを形成できる。疎水材の持続性として砂利や礫などの無機質資材の疎水材は、経年による腐朽は認められず長期間持続する。木材チップなどの有機質資材は経年に伴う腐朽によりC/N が低下し疎水材量が減少するため、資材の腐朽しやすさ
に依存する。
5 )パンブレーカは60cm 深程度までの堅密化した土層を膨軟にし、亀裂により本暗きょ疎水材までの余剰水の水みちを形成することができる。一方で破砕刃跡の残存状態は中粗粒質な土壌で5年、細粒質な土壌では5~10年の間には閉塞する可能性が高いことから、パンブレーカによる補助暗きょ自体の機能としては、5年が経過すると低下するものと考えられる(表2)。
6 )有材補助暗きょ、無材補助暗きょともに施工後作土下の浅い位置から堅密化し土壌物理性の不良な圃場が認められた(表1、表2)。施工効果の持続的な発現には、いずれの補助暗きょにおいても施工後の営農管理による心土破砕や堆肥施用、緑肥栽培などによる継続的な土壌物理性改善の必要性が示唆された。
7 )以上を畑における補助暗きょの特徴と施工効果の持続性としてまとめた(表3)。

【用語解説】
 暗きょ排水:穴の空いた管などを土壌中に埋設し、圃場内の余分な水を圃場の外へ排出する方法。
 疎水材:暗きょ管までの集水を促進するため暗きょ管の周りに埋設する透水性の良い資材のこと。
 補助暗きょ: 暗きょの排水機能を向上させるため、疎水材や亀裂により、水とおりの良いすき間を暗きょ疎水材に交わるように形成させる工法。



詳しい内容については、次にお問い合わせ下さい。
道総研花・野菜技術センター
電話(0125)28-2800  E-mail:hanayasai-agri@hro.or.jp

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