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胆振東部地震の教訓 農業TOKACHI

停電で生乳を廃棄する帯広畜産大学の牛舎

停電による生乳損失3700トン超
自家発電設備の充実が不可避に
▼電力へ依存する酪農

 9月6日に発生した胆振東部地震は管内農業に大きな教訓を残した。発生直後から全道で停電となり、自家発電装置を持たない酪農家や事業所では搾乳や生乳加工、野菜の選果まで広範囲に作業がストップした。

 特に被害が大きかったのが酪農だ。十勝総合振興局によると、地震に伴う生乳の損失は11月14日時点で3711トンに達した。

 管内の酪農家の大半は、電動の搾乳機を使う。24時間稼働する搾乳ロボットだと電力使用量はより多くなる。手作業に比べて効率性が高まった半面、電力への依存度は増した。発電装置がない酪農家は停電中に搾乳ができなかっただけでなく、乳牛が乳房炎にかかり、その治療期間も出荷できずに損失が膨らんだ。

 こうした状況を踏まえ、農林水産省は地震被害の支援策として発電機の整備に掛かる費用の3分の1を補助することを決めた。従来の支援額は3分の1だったが、今回の地震を受けて支援内容を拡充。発電機の耐用年数が5年以上残っていれば中古品も対象だ。

胆振東部地震に対応した農水省の主な支援事業

▼メーカーの対応に差
 乳業工場は、発電装置の未整備が酪農家の批判を招いた。よつ葉乳業十勝主管工場(音更)以外の管内主要工場が生乳の受け入れを停止したからだ。これらの工場は発電装置がないか、操業に必要な電力を賄えず、停電中も自家発電で搾乳を続けた酪農家は、生乳を持ち込む先がなくなって廃棄を余儀なくされた。

 酪農家は生乳の出荷先を選べない。出荷先がよつ葉か、よつ葉以外かで損失額に大きな差が出た。道農業界は発電装置の整備を乳業各社に要請しており、今後の対応が注目される。

 振興局がまとめた酪農以外の地震被害では、豚が700頭以上も死亡した。停電で換気扇が動かなくなり、豚舎が高温になったことが原因のようだ。鶏も鶏舎の換気ができず30羽が死んだ。農作物では、冷凍庫に保管されていたブロッコリーとスイートコーンが合計35トン廃棄された。

電力復旧後も管内JAは節電要請への対応に追われた

▼GSにも影響波及
 今回の地震で各JAは、営農以外でも対応に追われた。電力復旧後の国の節電要請を受け、JA帯広かわにしやJAめむろは運営するガソリンスタンド(GS)の営業時間を短縮。帯広かわにしは閉店時刻を最大で2時間半前倒しした。農作物の収穫・出荷が相次ぐ時期だっただけに、組合員の営農活動に極力影響が出ないように知恵を絞った格好だ。


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