給食 困った 断水長引く新得
冷凍やレトルト支援物資活用も 「おかず少ない」
【新得】台風10号による被災から2週間が過ぎる中、町内では学校給食共同調理場が断水のためいまだに稼働できずにいる。それでも、育ち盛りの子どもたちのおなかはすく。町教委ではご飯などを外部から購入し、冷凍食品を活用。支援物資もメニューに取り入れるなど、苦心しながら給食を提供している。
ごま塩おにぎり、牛乳、レトルトの五目卵焼き、たくあん、今川焼き。14日に町内の小・中学校に提供された給食だ。洗う水を節約するため食器は使わず、牛乳以外はビニール袋に包まれている。
新得中(石割章浩校長、生徒104人)1年の長屋李空(りく)さんはすぐに食べ終え、「おかずは少ない。でも、水が出ないから仕方がない」。台風後初の給食となった2日はパンと牛乳、ヨーグルトのみだっただけに、同じく1年の渡辺モモカさんも「こういう状況で給食のメニューを考えるのは大変だと思う。最初よりは量も増えた」とゆっくり味わった。
同校では補助食の持参を認め、部活をする生徒らは自宅から持ってきたおにぎりやパンなどを頬張っていた。この日の今川焼きは支援物資。石割校長は「支援には感謝したい。学校、家庭で水が使えない中、食は大事。子どもたちは先が見えて、当初より明るさを取り戻してきた」と生徒の様子を話す。
町の学校給食共同調理場は、自校給食の富村牛小中学校を除く4小・中学校に約480食を提供。しかし、断水で調理が不可能となり、レトルト食品や支援物資の魚肉ソーセージ、バナナ、チーズなどを献立に盛り込んでいる。ビニールでの包装も、数が多いだけに時間がかかる。
同調理場で生活用水が使えるようになるのは17日からの予定。ただ、町教委は「飲める水でなければ、野菜や食器を洗浄する観点から調理場は使えない」(吉岡崇之学校教育課学校給食係長)とし、本格調理にはまだ時間がかかる見通し。23日は人気メニューのカレーライスで、「なんとかその日までに稼働できれば」と“復活”を目指す。
同じく被災した清水町の学校給食センターは貯湯槽があるため、5日の簡易メニューを経て6日から給食を提供。水を大量に使うスープ類はなく、使い捨ての皿を使用している。(松村智裕)