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わずかな収穫「現実感」 芽室で自宅孤立の農業・高野さん

美生川が氾濫し、上美生橋(右上)が崩落。町道と道道も寸断された高野さん宅の一帯(1日、塩原真撮影)

畑大半失い、避難生活
 【芽室】台風10号による美生川の氾濫で、自宅へとつながる道路や橋が崩れ、町伏美の農業高野和良さん(55)宅が孤立。一家は今も上美生地区の公営住宅で避難生活を余儀なくされている。自宅は浸水を免れたが、畑は削られ、小豆や大豆も流された。農業を続けるか展望が見えない状況だが、高野さんは「じっとしていると悪いことばかり考える。目の前にあるものから、まず」とし、わずかとなってしまった秋の恵みの収穫に精を出す。

 避難しているのは高野さんと長女の知美さん(33)、母の道子さん(82)の3人。高野さんは農家の3代目。2年前に酪農をやめ、トラック運転手として勤めながら、7ヘクタールの農地で知美さんとカボチャや小豆、大豆を育てていた。

公営住宅で避難生活を続ける高野さん(右)と母の道子さん

 8月30日昼、町職員が自宅敷地内に土のうを積みに訪れ、午後2時には3人で上美生農村環境改善センターに自主避難した。美生川が氾濫し、町道に架かる上美生橋が崩落。町道伏美雄馬別線、道道55号も崩れ、自宅への道路が全て寸断された。

 「家の近くにいたい」と1日から上美生の公営住宅に。3日、道路に倒れた大木を渡り、家の様子を確認に行ったところ、「畑があったとは想像できない。もともと川があったみたいだった」。育成牛2頭を救出して町営新嵐山牧場に預け、愛犬2匹は以前住んでいた新美生の自宅に緊急避難させた。

 公営住宅には親類が布団や冷蔵庫、米などを運んでくれ、道子さんは「着の身着のままだったが、助けてもらって何とか(生活している)」と感謝する。

 8日、道が土砂と大型土のうで畑側にあふれ出した水の流れを食い止めてからは、高野さんは仕事終わりと土・日曜に自宅の畑へ足を運ぶ。しかし、畑に行くにも迂回(うかい)が必要で、往復約40分を要する。「現実感が日に日に増していく。収穫が何もないと、さらに落ち込むから」。流されずに畑に残ったカボチャの収穫に、知美さんと共に励む。(澤村真理子)

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