苦境越え結束「支えに感謝」 台風被災、清水高野球部が全力
台風10号で大きな被害を受けた清水町から12日、清水高校野球部が帯広の森野球場での秋季支部予選初戦に挑んだ。「勝利で町を明るく」と、ナインは広尾・上士幌連合を相手に全力でプレー。2-7で敗れたものの、下を向くことなく、野球ができることへの感謝を胸に春の雪辱を誓った。
清水高は野球部員が8人しかおらず、支部予選には卓球部と吹奏楽部に助っ人を頼んで10人とし、単独校で出場した。急造チームだったが、台風10号の被害が広がる中、学校グラウンドが使えず他校で練習するなど、苦境を共有することで結束を強くした。
「非常時でも、家族や周囲の支えがあって野球を続けることができた」。選手たちは感謝の気持ちを勝利で返したいと、広尾・上士幌連合戦に臨んだ。同町在住の小野寺寛選手(2年)=卓球部=は五回からレフトの守備につき、無安打に終わったが、「声でチームを盛り上げることができた。観客にも頑張っている姿を見せることができたと思う」と胸を張った。
新得町に住む小川大輝選手(1年)は、自宅で今も断水が続く中、3番ショートで出場し、はつらつとしたプレーを見せた。「断水しているのにユニホームを洗ってくれた家族に本当に感謝している」
芽室町在住の佐藤辰哉主将(2年)は「負けたのは悔しいが、厳しい状況下で野球ができていることに感謝しなければ。負けを春に生かしたい」と力を込め、櫻澤大輔監督も「この場に立てたことの意味をもう一度、一人一人が考え、春に向けて強い気持ちで練習したい」と誓った。(内形勝也、折原徹也)