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予想超える雨 弱い中小河川 加賀屋北大名誉教授に聞く

 十勝川流域委員会の委員長も務め、十勝の河川防災に詳しい北大名誉教授の加賀屋誠一氏(社会システム工学)に、今回の河川災害の原因や今後注意するべき点などを聞いた。(聞き手・小林祐己)

 -多くの河川があふれた被害状況をどう見るか。
 雨の降り方は異常だった。今まで十勝川流域委員会などで計画高水位(河川の設計上の最大水位)を設定するなどしてきたがそれ以上のものが出てきた。十勝川の整備計画は途上ではあるが、今回の雨を見ると今までの考え方以上に降ったということになる。

 -帯広も含めて7300人が避難をした。
 避難勧告は基本的に夜になる前に出すのが賢明だ。(前段の)避難準備情報は特に大事で、お年寄りや体の不自由な方はその段階で対応しなければいけない。勧告に強制力はないが、夜中で数千人が避難したのは対応が良かったと言える。

 私も十勝川中流部市民協働会議の河川水位の警報メールに登録しているが、たくさんのメールが入った。必要な情報を出すのは重要で、今回はかなり効果があったのではと感じる。

 -中小河川で浸水被害が相次いだ。
 国が責任をもって治水管理する本流に比べ、中小河川はどうしても弱い。これについては(堤防整備などの)ハード対応もあるが、(避難など)ソフト対応をきちんとすることが現状では必要だ。一番大切なのは人命なので、情報を早く出し、避難を的確にすること。(避難指示は)外れても致し方ないので各市町村は早めに対応することが大事になってくる。

 今の段階では治水対策に絶対はない。本流も水かさが増えると、あふれることはなくても、どこか弱いところで破堤する可能性があるので注意して対応しなければいけない。

 -今後さらに注意することは。
 避難所の対策も今後は課題になってくる。また水が土に入って弱くなっているので土砂災害が起きる可能性がある。洪水のはん濫水位と同じくらいに、土壌の水のたまり方の情報も大切だ。山側に住む人は危険情報が出たら速やかに避難態勢を取ってほしい。

<かがや・せいいち>
 元北大大学院工学研究科教授、室蘭工大副学長として、帯広開発建設部の十勝川流域委員会委員長、札幌市豪雨対応検証有識者会議座長などを歴任した。


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