13市町村 7300人が避難 帯広でも1954人
「サイレンで飛び起きた」
十勝管内の各自治体は30日夜から31日朝にかけ、避難指示や勧告などを出し、7300人を超える住民が避難所で不安な時間を過ごした。
13市町村で67カ所の避難所が開設され、約5万世帯、10万人を対象に避難指示や勧告が出た。実際に避難したのは31日正午までに7322人に上った。
音更緑南中には31日未明から朝にかけ、管内最多の1100人を超す住民が押し寄せた。体育館で腰を下ろしていた舟山義行さん(63)は「町内会の班長さんに声を掛けてもらい、みんなで避難してきた。川の状況が分からないのが不安」と顔を曇らせた。
同中では避難所を運営する町職員の手が足りず、家族と共に避難していた同中生徒が受け付けをしたり、高齢者らに水を配ったりする場面も。坂東颯耶さん(2年)は「お年寄りもたくさんいるので、できる範囲で手伝えれば」と話した。
幕別町の札内中、札内南小では、札内川が増水し、避難勧告が出た30日午後10時すぎから住民が集まり始め、約600人が一夜を明かした。31日午前4時半ごろには自宅に帰る人も出始めた。公区でまとまって避難してきた札内北町第2公区の下山一志公区長(53)は「段取りができておらず、皆に知らせるのに苦労した」と話していた。
清水町文化センターに避難した加藤敏昭さん(83)は「サイレンの音が響き、飛び起きて玄関を見ると、水が押し寄せて扉が開かなかった。家も浸水していると思うが、雨がやむまでどうしようもない」と諦め顔。溝口和男さん(76)と勝子さん(73)夫妻は「こんなことは初めて。家族に無事を知らせたいけど、電話が通じない」とこぼしていた。
帯広市では5万4000人余りを対象に避難勧告を出したが、実際に避難したのは31日午前9時時点で1954人にとどまった。帯広北栄小に31日朝になって避難してきた主婦山本未来さん(35)は「勧告は早めに出ていたが、周りが避難していないのでいつ逃げればいいのか判断が難しかった」と話していた。
宿泊客31人足止め ぬかびら源泉郷
【上士幌】大雨の影響で町ぬかびら源泉郷は31日、道路が通行止めになり、孤立状態になった。
ホテル「山湖荘」では同日チェックアウト予定の宿泊客6人、「中村屋」では25人が帰れなくなった。従業員らは山側からの浸水に備え、宿の周りに土のうを積むなどの対応に追われた。
山湖荘の蟹谷吉弘社長は「食料、水の備蓄はあり、電気、通信も使える状態で大きな混乱はない」と話した。
消防出動は100件
とかち広域消防局によると、30日午後2時から31日午前11時までの間、管内での出動は100件あった。
最も多い出動は水防活動で59件(監視警戒11件を含む)。次いで風害警戒が16件、自火通報10件、救助6件など。市町村別では帯広市の35件が最多で、清水町22件、新得町9件、音更町7件と続いた。
市長帰帯早める 米マ市訪問中
台風10号による被害の警戒や対応に当たるため、帯広市は、米国ウィスコンシン州マディソン市を訪問中の米沢則寿市長の帰帯予定を、当初の9月2日から1日早め、同1日にする方向で調整を進めている。
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