芽室、清水、新得で市街地浸水 台風10号
陸自、芽室187人救助
台風10号による大雨の影響で、十勝管内では30日午後から各河川の水位が上昇し、31日未明以降、あちこちで堤防の越水や一部決壊が起き、住宅地などが浸水した。同日昼までに芽室、清水、新得の西部3町の市街地が水に漬かり、帯広市や幕別町でもあふれた水が道路を分断するなど被害が広がった。
2河川から水 芽室
芽室町では同日午後に美生川が氾濫。上美生地区で越水があり、同地区の1家族3人が自主避難した他、新嵐山荘に宿泊予定だった旅行客らが南地区コミセンなどに移動した。
芽室川からあふれたとみられる水が芽室公園西側の住宅街などに浸水し、深い所で腰のあたりまで及んだ。住宅に取り残された住民もおり、町によると、陸上自衛隊の災害派遣部隊が早朝から午前8時ごろまでに187人を救助した。
同3時すぎには、町西4ノ9の冠水した道路で、水に漬かった軽乗用車に取り残された高齢女性が、消防隊員に救助された。車はヘッドライト付近まで水に漬かった状態で、隊員数人が速い流れに難航しながら、体をロープで縛り、浮き輪を使って女性を抱きかかえて助け出した。
町西4条9の会社員成瀬嘉啓さん(39)は午前2時半ごろ、外が膝近くまで浸水し、両親と近くの芽室公園に避難。「もう少し逃げるのが遅かったらと思うと一睡もできなかった」と憔悴(しょうすい)した様子だった。
起きたら泥水 清水
清水町市街地を流れるペケレベツ川は、31日午前1時10分ごろに複数箇所から越水。あふれ出した水は国道274号に沿って国道38号まで流れ込んだ。
桑嶋豊さん(68)の商店=同町南6ノ6=には、未明に泥水が流れ込み、店内や倉庫にたまった泥を朝からかき出した。「朝起きたら店が5センチほど漬かっていた。四十数年住んでいるが初めての出来事」と嘆いた。
清水運送(同町基線、梶竹征社長)では、同川の増水で倉庫の基礎部分がえぐり取られた。梶社長は「配送業務に支障を来さないか心配」と懸念した。剣山地区では午前10時現在、2世帯5人が孤立し、自衛隊がボートで救援に向かった。
札内川が決壊 帯広市大正地区
31日午前には、帯広市の大正地区で札内川の堤防が一部決壊。幕別町では猿別川の水があふれ、町内の猿別や相川の一帯が冠水し、多数の家屋や店舗が床上まで浸水した他、国道38号も通行止めとなった。
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