十勝毎日新聞 電子版

Tokachi Mainichi News Web

能勢眞美 初期作品を発見

都内の専門学校で発見された能勢眞美の油彩画(中央工学校で)

 【東京】十勝ゆかりの画家で北海道の近代洋画の基礎を築いた能勢眞美(1897~1982年)の初期の油彩画が、都内の専門学校・中央工学校(北区王子本町)で発見された。1931年に札幌の邸宅と庭を描いたみられる100号を超える大作で、同校は近く道立帯広美術館(石堂普之館長)に寄贈する意向だ。能勢が道内に洋画を広め始めた頃の創作意欲が感じられる作品として、美術関係者も注目している。

 能勢は胆振管内白老町生まれ。25年の北海道美術協会(道展)設立に参加した。日展・展覧会委員を務め、第1回道文化賞を受け、北海道を代表する画家として活躍した。

 48年に札幌から帯広に移り住み、平原社に参加するなど十勝の美術界にも多大な功績を残した。

能勢眞美

 中央工学校は09年に私立中央工学校として開校し、田中角栄元首相が夜間土木科を卒業し第5代校長も務めた。今回見つかった絵画は、15年ほど前に千葉県内の旅館が閉館する際に譲り受け、倉庫で保管していた。仲介者が複数おり、元旅館が作品を入手した経緯は不明という。

 校舎の建て替え計画で倉庫を整理した際に発見。インターネットで十勝との縁を知り、3月末に帯広美術館にメールで連絡した。「教育機関として文化伝承のお役に立てば」と、輸送費も負担し寄贈する意向を同館に伝えた。7月上旬にも同館に送るという。

 作品の右下には「1931」の文字と、アルファベットでサインが書かれている。裏面には能勢の筆跡で、作品のタイトルとみられる「ゴルフを遊ぶ庭」の文字と、当時の札幌の住所、自身の名前を縦書きした紙が貼付されている。同館は「展覧会への出品を想定しての制作と思われるが、出品歴は確認できていない」とする。

作品裏面に能勢本人が書いたとみられる画題、住所、氏名も

 同館は届いた後の作品を一時預かり保管し、今年度末に予定する寄付作品選定会議などを経て判断する。同校の矢代吉榮専務理事・法人本部長は「緑色が印象的な、品のある作品と感じる。北海道で多くの人に鑑賞して楽しんでもらえれば」と話している。

 能勢が作品を描いた当時は、展覧会の開催など、北海道に洋画を広め、道の洋画壇確立に励んだ時期ともされる。同館の五十嵐聡美学芸課長は「能勢のファンにとってうれしいニュースでは。『緑の画家』という自身のスタイルの確立に向けた作品といえる」としている。(原山知寿子)


更新情報

中華料理店代表×バーのマスター 沼澤亮太郎さん~十勝の二刀流(3)

紙面イメージ

紙面イメージ

5.9(木)の紙面

ダウンロード一括(76MB) WEBビューア新機能・操作性UP

日別記事一覧

前の月 2024年5月
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

十勝の市町村

Facebookページ

記事アクセスランキング

  • 昨日
  • 週間
  • 月間

十勝毎日新聞電子版HOME