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「ランパス」で新規客も混雑悩み 来店2倍、9割持参

発売から2カ月近くが過ぎたランチパスポートの十勝版。ワンコインの手軽さが反響を呼んでいる(22日、炭火酒場火厘はなれで。折原徹也撮影)

 通常700円以上の料理をワンコイン500円で食べられる「ランチパスポート」(通称・ランパス)の十勝版が発売されて約2カ月がたった。中には「来店数は以前の2倍以上」という店もあるなど、店側は新規客の呼び水として効果を実感している。ただ、予想を超える混雑ぶりに、「常連客が入れなくなった」など思わぬ“悩み”も聞こえてくる。

 ランパスは2011年に高知県で初めて刊行。飲食店は掲載料なしに店を宣伝できる他、購入者は料理がお得に食べられるとあって全国各地に広まった。十勝版は札幌と旭川に次いで昨年11月25日に発行。道内の情報誌などを手掛ける「えんれいしゃ」(札幌)から委託を受けた広告業の「CMC」(帯広)が1万8000部を出し、各書店では間もなく完売した。

 掲載店(帯広と近郊の80店)のうち、市内西18南5の焼き肉店「炭火酒場火厘はなれ」ではお昼時、連日のように“ランパス客”で混雑する。22日も店舗前には午前11時半の開店前から10人以上の列ができ、開店10分足らずで満席状態となった。客の9割以上がランパスを持参し、来店数は一日約50人と以前の倍以上という。

 同店で提供するのは、通常890円の「サガリ定食」。ママ友とランパスで飲食店巡りを楽しむ市内の主婦堂徳有美さん(31)は「知らなかった店を、安く新規開拓できるのがうれしい」と笑顔。工藤悠平店長(30)は「想像以上」と驚きつつ、「初めてのお客さんが多く、広告を出すより宣伝になる」と喜ぶ。

 ただ、常に満席状態が続くため、「これまで利用してくれた常連の方が来られなくなった」(工藤店長)との声も。特にランチの時間帯は主婦や親子連れが多く、滞在時間が長くなっていることも拍車を掛けているよう。

 中華台湾料理の「東海樓」(西7南9)でも当初同じような悩みを抱えていたが、ランパス使用客は2階、通常の客は1階に案内するなどで混雑緩和を図っているという。ただ、提供メニューの材料が限られ、来店した全員に該当料理を提供できないのが悩みだという。

 CMCの担当者は「初めての発行で不慣れな部分も多かった。今後は工夫が必要」とし、メニューを提供する曜日の指定や数量制限、ランパスの利用できる時間帯を客脚が落ちる午後1時以降にずらす-などを提案する。同社は今年中に第2弾の発行も検討しており、今後は店側も客側も不満なく、メリットを享受できる一層の工夫が求められそうだ。ランパスの使用期間は2月末まで。(高津祐也)

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