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作業一区切りに安堵感 影響長期化に懸念も 清水鳥インフル

発生養鶏場に消毒用石灰を運び込む作業員(20日午前11時、道提供)

 【清水】高病原性鳥インフルエンザが、検出された清水町内の養鶏場の殺処分作業と埋却作業は20日朝に終わった。早期の事態収束を願う地元関係者は安堵(あんど)するが、消毒や出荷制限はしばらく続き、長引く作業に不安の色を浮かべる住民の姿も。卵の需要期でもあり、行政関係者は安全安心を呼び掛けるなど風評被害が広がらないよう努めている。

 清水町内は殺処分が始まった17日から、自衛隊車両や作業員を乗せた大型バスが行き来し、物々しい雰囲気に。町内の主婦(75)は「夏の台風被害から復興に向かっている最中で清水町にとっては痛手」と話し、長引く作業に「卵や肉を食べても体に影響がないのは分かっているけど、本当に大丈夫なのか気にしてしまう」と不安を漏らした。

地元のスーパーでは卵の産地の変更を伝えている(19日、清水町。新井拓海撮影)

 町内のスーパーなどでは風評被害が広がらないよう、消費者に安全を呼び掛ける。町内の「Aコープ食彩館すまいる432」では、清水町産の卵を扱っていたが、感染発覚後に出荷が制限されて確保が難しくなり、他地域産に切り替えた。

 同店の粒羅信店長(54)は「雪が降れば入荷に影響が出てしまう。早く地元産に戻したいのだが」と打ち明ける。鶏卵の販売状況について、「(鳥インフルが出た後は)買い占めなのか売れ行きが伸びたが、今は動きが止まっている印象。鶏肉の売れ行きは変わらないがクリスマスに向けてどうなるか心配」と懸念する。

 一方、若鶏を扱う町内の辻屋精肉店の辻屋良美代表(67)は「何も影響は出ていない」ときっぱり。「気にしてもしょうがない。騒ぎすぎだと思う」。町は鳥インフルエンザの啓発チラシを全戸配布しており、買い物に来た町内の主婦(75)も「人に感染することはないので全然気にしていない。食品については信頼している。早く収まってほしい」と願う。

清水、新得両町の主要道路では車両の感染拡大防止の消毒作業が続くなど厳戒態勢が続いている(20日午後0時半ごろ、清水町で。金野和彦撮影)

「風評被害防止を」 副町長
 ウイルスが検出された養鶏場から半径3~10キロ圏内にある清水町の養鶏場の男性(61)は「(ウイルスの発生農家が)気の毒でしょうがない。明日はわが身だと思って気を張り詰めている。需要期なので早く収束して、穏やかな年を越せればいいが」と話した。

 殺処分、埋却の作業が一段落し、町農林課の池守輝人課長は「処分が国の指針から遅れたが、道としても一生懸命やってくれた。ひとまず安心している」とする。金田正樹副町長は「寒さで作業が難航し、初めてのことで不慣れだったとはいえ、道の伝達が遅く指示要領が現場にうまく伝わらない部分もあった。今後は経済再建に向け、風評被害の防止に努めたい」と語っている。(高津祐也、小寺泰介)

上士幌のフクロウ 高病原性を確認
 十勝総合振興局は20日、上士幌町内で12日に回収され鳥インフルエンザの陽性反応が出た野鳥のエゾフクロウについて、感染力や致死率の高い高病原性のウイルス(H5N6亜型)と確認されたと発表した。

 簡易検査の後、北大で確定検査を実施した。同振興局ではフクロウの回収場所周辺での野鳥の監視を強化している。

 これまでのところ、周辺で他に衰弱したり死亡している野鳥は確認されていない。


◆関係機関の高病原性鳥インフルエンザに関するサイト
対策、相談窓口など各種情報(PDFリーフレットダウンロード)-十勝総合振興局公式ホームページ
環境省からの高病原性鳥インフルエンザに関する情報-環境省公式ホームページ
農林水産省からの鳥インフルエンザに関する情報-農林水産省公式ホームページ
農研機構からの高病原性鳥インフルエンザに関する情報-農研機構公式ホームページ

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