大規模養鶏場に衝撃 自衛隊員ら700人出動 鳥インフル
卵需要期「早く収束して」
【清水】清水町の養鶏場から高病原性鳥インフルエンザが検出されたことを受け、同町内では17日早朝から自衛隊車両などが行き来し、感染拡大を防ごうと防護服に身を包んだ関係者が厳戒態勢で対応に追われた。一方、近隣の農業関係者の間では、今後の経済活動や風評被害を不安視する声が広がった。
清水町長「広がらないこと願うのみ」
同町内は種鶏場が各地に点在した時代があり、周辺は養鶏が盛んな場所として知られてきた。現在は6件の養鶏場があり、ブロイラーなどを含めて約40万羽を飼育。このうち被害が出た養鶏場は、管内最大規模の21万羽の採卵鶏を飼育していた。
防疫や集合場所となった町体育館には、17日午前8時ごろから陸上自衛隊第5旅団や十勝総合振興局、道職員ら総勢約700人が集まり、健康診断を受けてから現場へ。新得町内の3カ所を含む半径10キロ圏内の10カ所では、消毒ポイントを設置する準備も行われ、担当者が資材の到着を待ち続けた。高薄渡清水町長は「町内外へ広がらないことを願うのみ」と沈痛な面持ちだった。
圏内の養鶏場嘆き 「収入なくなる」
ウイルスが検出された養鶏場から半径10キロ圏内にある清水町の養鶏場の男性(61)は16日夜から、入り口などにまく消毒用の石灰の量を通常の2倍に増やしたり、立ち入り制限を設けるなど防疫対応を強化した。約18万5000羽を抱え、卵を販売しているが、圏外への出荷制限を指示された。十勝家畜保健衛生所から制限解除の時期は未定と伝えられ、「収卵から販売まで時間がかかれば、単価の安い加工用にするしかない」と嘆く。11、12月は、すき焼きや鍋などの卵の需要が高まる時期といい、「早く収束してほしい」と切に願う。
同じく半径10キロ圏内にある同町内の養鶏農家の男性(36)も「収入がほとんどなくなる」と心配する。一方で「10キロ圏内での卵の販売は可能だが、購入した人が外に持ち出したらどうなるのか」と戸惑いを見せた。(小寺泰介、高津祐也)
◆関係機関の高病原性鳥インフルエンザに関するサイト
・対策、相談窓口など各種情報(PDFリーフレットダウンロード)-十勝総合振興局公式ホームページ
・環境省からの高病原性鳥インフルエンザに関する情報-環境省公式ホームページ
・農林水産省からの鳥インフルエンザに関する情報-農林水産省公式ホームページ
・農研機構からの高病原性鳥インフルエンザに関する情報-農研機構公式ホームページ