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アイヌが祭った神? 牛首別の熊野永吉さん方 まちマイ豊頃編

明治から伝来「丸石」
 町牛首別116の元農業熊野永吉さん(86)方の敷地内には、地元の人が「不思議な石」と呼ぶ直径70センチほどの丸形の石がある。豊頃開拓の明治期からその存在が住民に知られており、その歴史をひもとくと、何やら穏やかならぬ言い伝えもあるようだ。

 この石があるのは、熊野さんの自宅から北西に約100メートルほど先の林の中。黒みがかり、見事なまでに丸みのある形状には神々しささえ感じるほどだ。

 熊野さんが子供のころ、今の場所から約80メートル西側の道路沿いにあったという。「確か『たたり石』と呼ばれていた。気持ち悪がってだれも近づこうとしなかったよ」と熊野さんは振り返る。熊野さんの父親も、石の周囲を有刺鉄線で囲い、人が近付かないようにしていたという。それでも20年前、何者かが掘り出そうとした形跡が見つかり、熊野さんが今の場所に移した。

 この地域では、こんな言い伝えもある。「2つ並んで対になるようにあった石の1つを、ある住民が漬物石に利用しようと持ち出したところ、数年後にその一家は絶えてしまった」。これが「たたり石」と呼ばれるゆえんらしい。

 熊野さんによると、以前、大々的に石のルーツを調べた人がいたが、全貌は明らかにならなかったという。ただ、「アイヌが神として祀(まつ)った石ではないかというのが有力な説。子供のころ、お参りしに来ている人を見たことがある」と熊野さんは証言する。

 「たたり石」から名を変え、今もひっそりとその姿をとどめる「不思議な石」。熊野さんは石にまつわる言い伝えを踏まえ、こう考えている。「ゆくゆくは町に寄付してみんなに見てもらった方が、いいのかもしれない」。(林佑哉)


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