強風被害のナイタイ高原レストハウス 解体視野
【上士幌】8日の強風で屋根の半分が剥がれ落ち、半壊状態にあった町ナイタイ高原牧場展望台のレストハウスは、9日午後も強風に見舞われ、残りの屋根が落ちて全壊状態となった。今季の営業再開は難しく、町は解体・建て直しも視野に今後の対応の検討に入った。長期の休業は避けられず、まちの観光面での影響が懸念されている。
町営の同レストハウスは1977年に建設。2008年からは町内で焼き肉店「三千里」を営む野村和茂さんが委託を受け、店主として営業している。木造平屋建てで床面積129平方メートル。標高約800メートルの高さから雄大な十勝平野を一望できる、上士幌の人気スポットとして知られる。近年はふるさと納税の効果もあり、全国各地から観光客が増え、昨年度(4月下旬~10月下旬)は5万4427人が訪れた。
売店とレストランの機能を持ち、売店では町のイメージキャラクター「ほろんちゃん」の関連グッズや物産などを販売。レストランでもナイタイ和牛を使った料理を提供するなど、上士幌観光の発信の場となってきた。今季は10月末まで営業の予定だった。
今回の強風では9日朝の時点で南側の屋根(縦約8メートル、横約14メートル)が剥がれ落ちているのが見つかり、壁の一部が破損、店内の陳列商品や備品も散乱状態だったという。その後も強風が吹きつけ、同日午後1時すぎには残り半分の屋根が牧草地へ吹き飛んでいったという。幸い、けが人は出なかったが、野村店主は「まさかこんな被害に遭うとは。夢であってほしい」と無念の表情で話す。
当面の間は同牧場入り口を閉鎖し、レストハウスへの町道も通行止めになる。町は被害額を含め、週明けの13日以降に今後の対応を協議する予定。町は「安全面を考慮して解体も考えられる。ただ、新たに建てる場合でも水回りや電気配線などの再調査が必要で、営業再開まで長期に及ぶだろう。町の観光発信の場だけに、ダメージは大きい」としている。(小縣大輝)