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黒毛和種母牛の飼養管理改善による虚弱子牛症候群の発生低減

道総研畜産試験場 基盤研究部 家畜衛生グループ
家畜研究部 肉牛グループ 技術支援グループ

1. 試験のねらい
黒毛和種母牛の栄養状態が子牛に及ぼす影響や虚弱子牛症候群(WCS)の発生要因となることを明らかにし、母牛の飼養管理改善により、WCSの発生低減を実証する。

2. 試験の方法
1) 母牛の低栄養状態がWCSの発生要因となることを示し、飼養管理法の問題点を明らかにする。
2) 母牛の妊娠末期の給与飼料におけるエネルギーと蛋白質量が母牛の栄養状態と子牛に及ぼす影響について明らかにする。
3) WCS発生A農場において、母牛の飼養管理改善によりWCS子牛の発生を低減する。
4) WCSを診断し母牛の栄養状態を把握し、WCSの発生低減の対策を実施するためのガイドラインを示す。

3. 成果の概要
1) WCSの発生農場では、母牛が低エネルギー・低蛋白質状態に陥っている傾向が認められ、母牛の低栄養が胎子の発育に影響し、WCSの発生要因となることが示唆された(図1)。
2) 母牛のボディコンディションスコア(BCS)が低い場合は、妊娠末期を飼料増給なしで低エネルギー・低蛋白質状態で飼養すると、母牛が低栄養となり、WCSが発生した。母牛のBCSが低く、低栄養の場合は、妊娠末期の飼料増給がWCS発生低減に有効だと考えられた。母牛のBCSが高い場合でも、妊娠末期の養分充足率が低いと栄養状態が低下し、子牛への影響が懸念されるため、飼料増給は必要だと考えられた。
3) WCSの発生A農場において、繁殖ステージ毎の群分けや母牛の妊娠末期の飼料給与量の増加などの飼養管理を改善した結果、母牛のBCSが上昇し、エネルギー・蛋白質不足が改善され(図1)、栄養状態が向上した。母牛の飼養管理改善に伴い、子牛の生時体重が増加し、胸腺スコアが改善し、WCS子牛の発生が減少した(表1)。母牛の低栄養に起因するWCSの発生低減には、母牛の飼養管理法の見直しにより、母牛の栄養状態を改善することが効果的であると考えられた。
4) WCSの診断基準と母牛の栄養状態を把握するポイントを示し、母牛の低栄養状態に起因するWCSの発生低減のためのガイドラインを提示した(図2)。

4. 留意点
1) 虚弱子牛が発生する黒毛和種繁殖農場において、母牛の低栄養を疑う場合の対策の参考とする。
2) WCSの診断と母牛の代謝プロファイルテストは獣医師と連携して実施する。




詳しい内容については下記にお問い合わせください

道総研畜産試験場 基盤研究部 家畜衛生グループ 小原潤子
電話 0156-64-0615 FAX 0156-64-5349
E-mail kohara-junko@hro.or.jp

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