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十勝地域におけるキクイモの耕種的防除技術

道総研畜産試験場 家畜研究部 技術支援グループ

1. 試験のねらい
 キクイモ(Helianthus tuberosus L.)はキク科の帰化植物で、地中を這う茎(匍匐枝)と塊茎から増殖する多年生植物である。飼料用とうもろこし圃場にキクイモが侵入・優占すると、とうもろこしの生育抑制やサイレージの嗜好性・栄養価の低下等が発生する。 
キクイモは茎葉に防除処理しても、再生塊茎を発生して増殖するので、防除が困難である。また現在、選択性除草剤の登録農薬等がなく、防除方法は確立されていないので、多回刈り、刈り取り・除草剤処理または一部表層撹拌を組み合わせた防除技術を確立する。

2. 試験の方法
1) 刈り取り間隔がキクイモの地下部量に及ぼす影響を明らかにする。
2) 農家圃場において、イタリアンライグラス(IR)の播種および年2~3回刈りの防除効
果を実証する。
3) 農家圃場において、刈り取り、一部グリホサート系除草剤(G)処理および表層撹拌の
組み合わせ処理の総合的防除効果を実証する。

3. 成果の概要
1) キクイモの地下部量は、刈り取りを実施したいずれの区も減少した。刈り取り間隔(生育日数)が短いほど地下部量の減少が顕著であった。無防除区では地下部量は出芽32
日目まで減少したが、出芽45日目に増加に転じ、再生塊茎が認められた(図1)。この
ことから、45日程度より短い生育日数で刈り取りを実施することにより、再生塊茎が発
生することなく地下部が減少し、完全にまたは著しく抑圧できると考えられた。
2) 現地において、冠部被度は、年3回の刈り取りを34日、23日の間隔で実施した忠類で
は0%、表層撹拌と年3回の刈り取りを56日、43日、41日の間隔で実施した本別では
3%、表層撹拌と年2回の刈り取りを1年目42日、50日、2年目を45日、60日間隔で実
施した豊頃では1%であった。キクイモは多回刈りにより完全にまたは著しく抑圧できる
ことが明らかとなった(表1)。また、本別および豊頃において、生育期間44および
45日目に再生塊茎が確認された(写真1)。
3) 表層撹拌後、刈り取り、G処理、表層撹拌を62日、28日、24日の間隔で実施した鹿追
の冠部被度は0%であった。はじめの表層撹拌後に冠部被度が増加していることから、そ
の後の処理によりキクイモが抑圧されたものと考えられた。刈り取り、除草剤処理、表
層撹拌の組み合わせ処理によっても完全に抑圧できることが明らかとなった(表1)。
また、実証試験における処理間隔(生育期間)と処理前後の地下部量の変化から、生
育日数が43日程度を越えると地下部量が100%を越える場合があり、再生塊茎を発生し
て増殖する場合があると考えられた(図2)。

4. 留意点
1)キクイモの侵入程度により2年以上の防除処理実施が必要な場合がある。
2)キクイモ防除における、粗飼料確保のためのイタリアンライグラスの播種は、アカヒゲホソミドリカスミカメの発生源となるので、稲作地帯への導入は避ける。





用語 再生塊茎;早春に茎葉を発生させた元の塊茎と別の、後から産生された塊茎
   地下部量;元の塊茎、再生塊茎および匍匐枝を合わせた重量

詳しい内容については下記にお問い合わせください

道総研畜産試験場 家畜研究部 技術支援グループ 佐藤尚親
電話 0156-64-0626 FAX 0156-64-5348
E-mail sato-narichika@hro.or.jp

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