発射準備の手順確認 「小型ターボジェット」搭載実験機 大樹航空宇宙実験場でJAXA
【大樹】独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)はこのほど、大樹航空宇宙実験場(町多目的航空公園内)で、来年度以降、大気球につるして上空で切り離す予定の「小型予冷ターボジェットエンジン」搭載実験機について放球前の手順確認を行った。地上でのオペレーション練習で、大気球につながる台車に機体を固定して模擬燃料を注入、一連の実験の準備にどの程度、時間を費やすかなどを確かめた。
JAXAは、マッハ5クラスの「極超音速機」に搭載する同エンジンの開発に取り組んでいる。極超音速機は日米間を約2時間で飛行するジェット機で、2025年をめどに完成を目指している。
通常のエンジンでは1000度に達する高温に耐えられないため、氷点下250度近くまで冷えた燃料の液体水素を使い、エンジン温度を下げるタイプ。昨年11月には、大樹の同実験場で燃焼実験を行っている。
今回は来年度以降の上空での実験を見据え、14、17の両日、16人のスタッフが作業に当たった。格納庫内で実験機を固定した台車を、スライドさせて屋外に。安全面を考慮し、本来使用する可燃性の液体水素を模した液化窒素の充てん作業を、昼夜に分けて行った。
JAXA宇宙科学研究本部の沢井秀次郎准教授は「準備から撤収までの作業手順をある程度、確認できた。今後の実験に役立てたい」と話していた。(北雅貴)