打ち上げ誘致に意欲 大樹町 JAXA10年度新型ロケット
【大樹】町は、独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA、本部東京)が2010年度の打ち上げを目指す新型ロケットの発射場として、町多目的航空公園を本格的にアピールしている。JAXAの立川敬二理事長が9月中旬の定例会見で、同ロケットの発射台を移動式で検討していることを明らかにした。大樹での打ち上げの可能性は低いが、伏見悦夫町長は「鋭意努力し、打ち上げ場所として誘致したい」と話している。(松村智裕)
新型ロケットは、9月23日に鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられ、今回で役目を終えた「M5」ロケットの後継機。全長がM5より7メートル短い24メートルで固体燃料方式。小型衛星打ち上げの機動性は確保しつつ、M5に比べ、打ち上げ費用を大幅に抑制する考えだ。
立川理事長は定例会見で、M5後継機の発射台が可搬型になれば、内之浦宇宙空間観測所以外でも打ち上げられると明言。1例として北海道を挙げたという。
JAXA広報部は立川理事長の発言について、「移動発射台を分かりやすく説明したのでは。現実的には内之浦や種子島宇宙センター以外からロケットを打ち上げるのは設備投資などの面から難しい」とし、新たな発射場を設ける可能性を遠回しに否定している。
伏見町長は定例会見後の9月26日に立川理事長と東京で面会。「ぜひ大樹町でM5ロケットの後継機を打ち上げてほしい」と要望した。伏見町長は「理事長は大樹の環境の良さは理解しているはず。今後も要望は続けたい」としている。
同公園は、全長1キロの滑走路や巨大な格納庫を備え、一昨年に68メートルの飛行船を浮上させる実験が行われるなど、最新の航空宇宙実験が相次いでいる。JAXAは来年度から、新小型ロケットの研究に本腰を入れるだけに、今後の動向に注目が集まりそうだ。