大樹に「宇宙多目的飛行センター」 HASTIC提唱
【札幌】NPO法人北海道宇宙科学技術創成センター(HASTIC、伊藤献一理事長)は、大樹町内に「北海道航空宇宙多目的飛行センター(仮称・北海道スペースポート)」を建設する構想を提唱、調査・研究に乗り出している。次世代航空機や宇宙機の開発飛行試験ができる総合飛行センターを目指す。国内の商業スペースポート(宇宙港)の先駆けとして、民間宇宙機の離着陸拠点となる将来像も描いている。
伊藤理事長は大樹町に関し地理的条件や受け入れ環境に優れている点を挙げ、「世界的に見ても宇宙港に最適」としている。構想では同町多目的航空公園を拡張、全長1000メートルの滑走路を4000メートルに延ばす。
超音速機や無人機などの特殊仕様の航空機、通常の飛行機と同じように水平発着できる再利用型宇宙機の試験飛行などに活用。HASTICは米・ロケットプレーン社と業務提携を結んでおり、同社が開発中の「ロケットプレーンXP機」での宇宙遊覧飛行や無重力実験の実施も想定している。
XP機に道産小型ハイブリッドロケット「CAMUI(カムイ)」を組み合わせ、超小型人工衛星を打ち上げる新システムの開発に利用することも可能。小型ロケットの垂直打ち上げ場や研究開発施設の併設も検討している。
今後、技術的な検討を進め、法整備などを国などへ働き掛ける構え。伊藤理事長は「日本は夢のある産業分野の開発を進めなければ、世界から置いていかれる。(同センターは)国内の航空・宇宙産業にとって不可欠な場となる可能性を秘めている」と話している。(山下聡実)