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大樹から宇宙へ(2)「地元理解で海上実験実現」

「10年後はさまざまな研究の場で活躍していれば」と話す永田教授。手前はカムイロケットの模型

 CAMUI(カムイ)型ハイブリッドロケットの大型化に向けた実験では、打ち上げに陸地だけでなく海上を使う必要がある。安全面から、陸地では高度1キロ程度までに自主制限しているためだ。

 海上実験では地元の大樹漁協の理解と協力が不可欠で、いわば漁業者も航空宇宙実験の一翼を担う。近年は宇宙航空研究開発機構(JAXA)の大気球実験で、同漁協が実験機器回収のために漁船を出す。

 海上打ち上げが始まったのは2007年。同漁協の伊藤浩二専務理事は「未来のある話。宇宙のまち・大樹のために応援したい」とし、伏見悦夫大樹町長も「十勝の漁協の方々には温かく応援していただいている」と話す。

 カムイロケットが成長するにつれ、実験の際、調整が必要な関係機関も増えた。これに伴い、北大の研究室から05年、実験主体としての役割を引き継いだのが札幌市のNPO法人「北海道宇宙科学技術創成センター」(HASTIC、伊藤献一理事長)だ。

 HASTICは02年に、道内の大学や研究機関などの宇宙関係者が情報交換する場などとして創設された。伊藤理事長は「商業利用を考えたとき、大学では限界があり、当面はHASTICで打ち上げていくことにした」という。

 一方、大型化に向けたエンジンの工作や燃焼試験では、赤平市の植松電機が永田晴紀教授(カムイロケット考案者)の大きな力となった。同社は、重機に取り付けるリサイクル作業用マグネットを製造する中小企業。一見、宇宙とは関係のなさそうな企業だが、宇宙開発に興味があった専務・植松努さん(45)の熱い思いで参加が決まった。

 植松さんは04年、札幌で開かれたHASTIC主催の講演会に参加した。「HASTICの人と仲良くなれば、開発に関われるかもしれないと思った。工作機械がそろっていたので、ものづくりで力になりたかった」。その席で、永田教授と初めてあいさつを交わした。

 当初は永田教授も「電気関係に強い会社なのかなと思った」という程度。ところが、永田教授が考えた図面の品について、それまで完成に2カ月かかっていたのを、同社は1年ほどでわずか18時間に短縮した。今では「詳しく図面を書かなくても理解し、すぐに工作してくれる」(永田教授)というレベルに達した。

 民間の強力なバックアップを受け、カムイロケットの開発スピードは格段に上がっている。「カムイが大樹町でさまざまな飛行環境試験を行い、いろんな研究の場で活躍している状況だとうれしい」。さらに10年後の未来を、永田教授はこう思い描いている。(佐藤圭史)

<HASTIC>
 2002年6月に任意団体として設立、03年1月にNPO法人化された。主体的に宇宙事業を展開する法人は国内でも珍しい。カムイ型ハイブリッドロケットの開発ほか、超小型衛星、微小重力環境利用なども研究。道内から、日本の宇宙開発の発展を目指している。

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