垂直型の営農型太陽光発電、実験地を公開 帯広畜産大 食とエネルギ生産両立期待
帯広畜産大学(長澤秀行学長)と再生可能エネルギーの北海道自然電力(札幌、瀧口直人社長)が取り組む国内最大規模の営農型太陽光発電の実証実験で、26日、同大構内の圃場(ほじょう)に設置された垂直型太陽光パネルの現地見学会が行われた。
営農型太陽光発電は、農業生産と発電を両立させるもの。今回の実証実験では、両面で発電可能な太陽光パネルを地面に垂直に設置する。土地を覆う形で設置する従来の傾斜型太陽光パネルに比べ、作物を育てる農地を確保しながらエネルギーを産出することができるメリットがある。
両者は昨年8月に連携協定を締結。5年間の実証実験の開始に向け、先行実験のためのパネル設置などを進めてきた。
見学会で公開されたのは、先行実験用に構内に設置された南と東、西を向いた垂直型パネル3基と、南向きの傾斜型パネル1基の計4基。出力は各5キロワット。いずれも高さ4メートル40センチほどで、すでに試験的にデータを取り始め、2月中旬のデータでは、南向きの垂直型パネルは傾斜型とほぼ同程度の発電量となった。
新年度からは同大の圃場内で240メートルにわたり6列設置する。今秋にもすべてのパネル設置が完了する予定で、圃場では秋まき小麦から始まり、ジャガイモなどを作付け。農作物の生育状況や収量への影響、景観、防風効果などを調査・比較する。
現地見学会に先立ち、長澤学長は「(営農型太陽光発電を)十勝から北海道、日本、そして世界に向けて波及させていきたい」と語り、瀧口社長は「農業生産とエネルギー生産の両立を目指す上で十勝での実験が必要だった。農業の皆さまにも見ていただいて、営農型太陽光発電への理解を深めてもらえたら」と述べた。
また、道銀地域総研の土屋俊亮会長による講演と北海道自然電力の堂屋敷誠副社長による事業の概要説明が行われた。土屋会長は「食料基地とエネルギー基地を両立する地域となることで十勝が発展していく」と事業に期待を寄せていた。(大谷健人)