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農業生産法人ほんべつSEED設立 本別産の新規作物や独自加工品を育て経済活性化へ

亜麻畑で笑顔を見せるほんべつSEEDの(左から)富川社長と山下専務

 【本別】本別町内の生産者ら有志が、農業生産法人「ほんべつSEED(シード)」を設立した。本別産の新規作物や独自加工品を育てて経済活性化を図る「地域商社」を目指す株式会社で、畑作農家の富川範己さんが代表取締役社長に就任した。かつて町内で栽培が盛んだった「本別亜麻」の特産化や6次化を中心に、“日本一の豆のまち”として本別大豆ミートの普及や販路拡大、本別産生乳を活用した乳製品を事業の柱に育てていく考えだ。(北雅貴)

 農業生産法人は7月1日付で設立登記した。富川社長のほか、畑作農家の山下健司さんが取締役専務に就任。このほか、出資者にはブランド牛「美蘭牛福姫」を展開する畜産農家の福田博明さん、和菓子製造販売「くり豆本舗」を運営する砕石販売業の内田智大さんらが脇を固める。資本金は600万円。町内中心部でセイコーマート本別北店が開店した多目的交流施設「ほんべつ元気館」に、亜麻加工品などの6次化拠点を設ける方向で調整している。

 富川社長は押帯地区のベテラン農家。JA本別町の佐野政利組合長の協力を受け、まちおこしの一環で亜麻の栽培法確立や反収増に取り組んできた。昨年は0・7ヘクタールで収穫した亜麻から9リットルを搾油し、帯広物産協会などの協力で亜麻仁油入りのドレッシング「十勝農家の和風たまねぎドレッシング」(860円)を試験販売。累計約3500本が完売した。

 2020年から試行錯誤しながら栽培を続けた富川社長は「当初は失敗もあったがノウハウが蓄積され、ようやく軌道に乗ってきた」と話す。今季は山下専務も亜麻に取り組み、2人合わせて計1・5ヘクタールの畑で栽培。9日から収穫が始まった亜麻の生産量は、前年の3倍以上になる見通しだ。

 さらにドレッシングに使うタマネギにこだわりも。従来は道産だったが、ポリフェノールの一種のケルセチンを多く含んで抗酸化性や動脈硬化予防などに効果があるとされる品種「ケルたま」を山下専務が生産。オール本別産のドレッシングとなる。

 山下専務は「地元産で体に良いものをと思い作り始めた」と振り返る。亜麻とタマネギで機能性を向上させて、約1万本の生産を予定しており、町のふるさと納税返礼品の採用も目指す。亜麻の茎から取れる繊維をタオルなどに加工する「本別リネン」事業も視野に入れる。

 ほんべつシードは、「本別きらめきタウンフェスティバル」(31日、9月1日・利別川河川敷特設会場)に出店するくり豆本舗に特別ブースを設け、ドレッシングを各日100個を特別価格(1個500円)で提供する。

 町歴史民俗資料館でのトピック展「亜麻と本別のはなし」の特製パネルなども展示し、亜麻と本別の歴史に触れてもらう。

 富川社長は「本別に貢献したい。亜麻を生産する農家が増えればうれしい」と、新たな仲間の出現も心待ちにしている。

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