キャンプ場 若者に継承 清水「遊び小屋コニファー」創設の加藤さん
【清水】清水町のキャンプ場「遊び小屋コニファー」(旭山2)が、創設者の加藤聖さん(70)から事業を引き継いだ若者らによって新たなスタートを切った。後継者の1人、上妻諒太さん(34)は新たな手法でキャンプ場整備を進めながら「加藤さんがつくり上げてきた、人とのつながりを大切にしたい」と話す。(近藤周)
元自衛官の加藤さんは1998年、退官後の生活場所として同町に土地を購入した。ささやぶだらけの山林を切り開き、手作りのログハウスを建てた。周囲からの声を受け、2007年にコニファーをオープン。以来18年間、一日も休まずキャンプ場を開け続け、気さくで面倒見の良い加藤さんの人柄も全国のキャンパーたちに愛されてきた。
そんな加藤さんも今年で70歳を迎えた。体力も昔に比べて落ちてきたと同時に「自分の時間を自分のために使いたい」と考えるようになり、後継者を探していた。
上妻さんは、札幌で医療関係の職を経て30歳で故郷の十勝にUターンし、芽室町内の三浦商店(三浦啓太郎社長)に転職した。20年に同商店の出資でコニファーの倉庫でアウトドア用品を取り扱う「キャンプラボ」を開店した。もともと、キャンプが趣味だった上妻さんは、ショップ経営をしながら、加藤さんとキャンパーとのつながりを見て、事業継承を志したという。
9月に三浦商店がキャンプ場を買い取り、上妻さんともう一人の後継者、菊地陽介さん(43)が現場でキャンプ場運営を引き継いだ。お盆期間から徐々に業務を引き継いでいたが、繁忙期の目が回るほどの忙しさに驚き、「改めてこのキャンプを1人で続けてきた加藤さんのすごさを感じた」と話す。2人は現在、クラウドファンディングを活用して資金を集め、利用者が快適に過ごせるよう、トイレやシャワー室の整備を進めている。
帰り際にもう一度、客と顔を合わせることのできる事後清算制などは継承し、客とのコミュニケーションを大切にしてきた加藤さんの思いを引き継ぐ。
加藤さんは9月10日に、キャンプ場横のログハウスから音更町内に引っ越した。キャンプ場に残した荷物を回収するためにも「またちょくちょく来ますよ」と笑う。「キャンパーたちへの感謝の気持ちを忘れずに頑張ってほしい」と後進にエールを送り、今後も若い力で続いていくキャンプ場を見守っていく。