おびひろ動物園、ばん馬間近に 12月に「ふれあい舎」
おびひろ動物園(稲葉利行園長)で新築中の馬の獣舎「馬ふれあい舎」は、10月末に完成し、冬季開園日の12月2日から公開される。馬房4房を備えた獣舎と放飼場などからなり、まずはばん馬2頭を導入する予定。開拓の歴史で大きな役割を果たしたばん馬の生態を知り、間近で触れ合える環境をつくる。(北村里沙)
同舎の場所は園内西側のライオン舎隣にあったラクダ舎の跡地。約980平方メートルの敷地に、木造平屋166平方メートルの獣舎を建設する。内部には馬房を4房設け、建物の放飼場側には、つなぎ場を4カ所つくる。砂地の放飼場も併設して、朝夕の日差しから逃れられるよう、西側と東側に日よけを設ける。工事は6月中旬に始まり、事業費は約1億1000万円。全国乗馬倶楽部振興協会の助成金や同園への寄付を活用する。
同園では当初、2頭のばん馬を導入する。導入元は市ばんえい振興室を通して検討中。11月ごろには獣舎に迎えて一般公開に備える。馬の気性が荒くなり危険なため、繁殖の予定はなく、馬は最大4頭まで導入する考え。数年後には北海道和種馬(ドサンコ)の導入も検討している。
馬は普段は放牧し、来場者との触れ合いは、時間を決めたスポットガイドのような形で行う計画。つなぎ場で飼育員が生態などを説明する。馬の顔や首、体を触り、ブラシをかける、写真を一緒に撮るなどの触れ合いや、馬がなれてきたらまたがることも計画している。「おびZoo寺子屋」などのイベント時には、建物の中に入ることを考えている。
設計に当たっては、同園の職員などが日高管内の牧場やばん馬の農家に出向き、参考にしたという。同園は帯広競馬場の「ふれあい動物園」との違いについて、「(動物園では)教育的な要素を重視している」と説明する。
放飼場周りの塀や、建物などに掲示物を張り、開拓の歴史や馬の生態を説明する。北海道の開拓では初め小型のドサンコを用い、農耕が盛んになると大型の馬が必要となり、その時導入した馬がばん馬のルーツとなっている。
同園は「馬は人間のために働いてくれた、気持ちのやりとりができる動物。おじいさん、おばあさんと孫の、ふるさと十勝の歴史についての会話の種になる。飼っていた高齢者は昔を思い出し、触れ合いで元気をもらえるのでは」としている。