男性の育休なお2割弱 人手不足が支障に 市22年度調査
帯広市は、2022年度の男女共同参画に関する事業所意識調査の結果をまとめた。調査の直近1年間(21年10月1日~22年9月30日)に育児休業を取得した従業員数は95社237人で、前回17年の調査(57社124人)の約1・9倍となった。このうち男性は前回の7人から46人へ約3・5倍に増えたものの、男性の育休取得率は19・8%にとどまった。
性別による役割分担意識や就労実態の現状、課題を把握することなどを目的に5年ごとに実施している。今回は昨年11月に調査。対象は従業員5人以上の市内民間事業所で、1595事業所に調査票を発送し、510事業所(回答率32%)から回答を得た。
男性の育休取得が進まない原因を問う項目(三つまで選択可)では、「職場で男性が育児休業を取得できる雰囲気がない」は22・4%で前回より7ポイント減少。男性の育休に対する職場の意識が少しずつ変化してきていることがうかがえる。
一方、「休業中の業務に支障をきたす(代替要員の確保など)」が最多の57・1%(1・1ポイント増)で、人手不足が男性の育休取得の足かせとなっていることが浮き彫りになった。「固定的性別役割分担意識がある」との回答も依然として22・5%(2・3ポイント増)に上った。
育休以外に取り入れている育児をサポートする制度は、「子の看護休暇制度」が33・3%(5・1ポイント増)で最多。「テレワーク・在宅勤務制度」は前回の0・5%から6・9%へと急増した。コロナ禍の影響で制度の導入が進んだとみられる。ただ、こうした制度が「特にない」が42・2%(0・2ポイント増)に上り、子育てと仕事を両立しやすい職場環境づくりはなお道半ばといえる。
新たな項目として、仕事と生活の両立(ワーク・ライフ・バランス)のために取り組んでいることを問う項目(複数回答)では、19年度から年5日の取得が義務付けられた有給休暇の「計画的な取得促進」が40・6%で最多。「業務の分散・平準化」(23・7%)、変形労働時間制(22・5%)などが続いた。一方、「特にない」が36・7%に上っており、市は「ワーク・ライフ・バランスの考え方や取り組み方法などが浸透していない」とみる。
性的少数者に関する設問も新設。「セクシュアル・マイノリティー」「LGBT」という言葉自体は82・7%が「言葉も意味も知っていた」が、理解を深めるために必要だと思うこと(三つまで選択可)は「特にない」が最多の26・9%、「よく分からない」が23・3%で続いた。全ての人にとって働きやすい職場環境をつくる意識や具体策を持ち合わせていない事業者が多いことが分かる。市は「基礎的な知識や具体的な取り組み方法などの周知や啓発が不足している」と分析する。
介護休業を取得した従業員数は、前回の9社14人(全て女性)から、32社105人(女性57人、男性48人)へと大幅に増加した。
(菊地青葉)