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家畜ふん尿のバイオガス 火葬場の燃料に 大樹で実証試験

専用のガスバーナーを設置して行われたバイオメタンガスの燃焼実験

 【大樹】産業ガス大手のエア・ウォーター(大阪市)などは、南十勝複合事務組合が運営する大樹忠類火葬場(大樹町開進)で、家畜ふん尿由来のバイオメタンガスを火葬炉の燃料に活用する試験を行っている。18日、地元関係者に実験を公開した。

 バイオメタンのサプライチェーンを構築する実証事業(2021~23年度)の一環。同社は帯広市内に拠点施設を整備、バイオガスからメタンを抽出し、高濃度で大量輸送が可能な液化バイオメタン(LBM)の製造試験を続けている。

 バイオガスは大樹町内の水下ファームとサンエイ牧場のプラントが供給。今年度は牧場プラントでバイオメタンを精製する技術試験を展開しており、液化せずメタンガスのまま牧場から供給、利用する手法として火葬炉の熱源が浮上した。帯広で液化し、運搬するコストを削減できる。

 試験は火葬炉メーカーの富士建設工業(新潟市)と共同で実施。現状は灯油ボイラーを使用しているため、専用のガスバーナーを仮設して燃焼温度などを測定している。メタンガスは吸蔵容器(トレーラーに積載するタンク)を火葬場に横付けし、炉に供給。容器は500立方メートル(7~8件分の火葬燃料)のメタンガスを充填(じゅうてん)できる。

 公開試験は黒川豊町長や町議会議員ら約40人が見学。大樹町はゼロカーボンシティを宣言しており、黒川町長は「火葬場は(バイオガスの)導入候補になりうる。老朽化した施設の更新計画を策定する中で参考にしたい」と述べた。

 まだ灯油の方がコスト的に割安で、見学者からは「家畜ふん尿(由来のガス)で火葬されるのはどうか」との声も。同社地球環境システム開発センターの西川智大さんは「酪農現場から出る資源を地域内で循環する『エネルギーの地産地消』を実現できる」と話している。(能勢雄太郎)

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  • 火葬場にバイオメタンガスを運搬するのに使用する吸蔵容器

    火葬場にバイオメタンガスを運搬するのに使用する吸蔵容器

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