帯調卒のオーナーシェフ山本さん、オランダの日本料理店でミシュラン一つ星獲得
帯広調理師専門学校の30期卒業生、山本拓明さん(39)がオーナーシェフを務めるオランダ・ロッテルダムの日本料理店「Japanese Cuisine Yama(ジャパニーズ キュイジーヌ ヤマ)」が4月、フランスの飲食店格付け本「ミシュランガイド」で一つ星を獲得した。25日に母校を訪れた山本さんは「これからも高みを目指したい」と意気込んだ。(近藤周)
山本さんは上士幌町出身。通信制高校を経て、帯広調理師専門学校を卒業した。若い頃から「広い世界に羽ばたきたいという冒険心にあふれていた」と言い、オランダに渡り、ホテルオークラアムステルダムへ就職。厳しい環境で料理人としての腕を磨いた。
2014年に同店を開店。最初はカジュアルな日本料理店として価格帯5000円ほどのコース料理を提供していたが「10年後にミシュランの星を獲得すること」を目標に、徐々に素材や店の内装をグレードアップ。現在は1日8人の完全予約制、予算約3万円で7~8品のコース料理を提供している。
店のこだわりはオランダの地元食材を使用すること。南北に海があり、農業も盛んなオランダの新鮮な食材を使った日本料理が自慢だ。最近はわさびやしょうゆも現地で作られたものを使用している。
また一押し料理は「ジャパンツアー」と名付けた一品。日本列島を模した器に北海道の松前あえから鹿児島のさつま揚げまで、日本全国の郷土料理を盛り付けたもので「コロナで旅行に行けない中、料理で旅をしてもらえたら」という思いを込めた。山本さんのストーリー性あふれる料理も今回評価されたポイントだ。
山本さんは「自分がここまで料理を追求できるのは妻のおかげ」と店のマネジメントを全て担当する妻の中森夕子さんに感謝する。来年は店を構えて10年。「今後は自社ブランドソースの開発に取り組みたい」と新たな目標を掲げ、夫婦二人三脚で前進していく。