「オスプレイ情報開示を」鹿追離着陸で近隣酪農家
【鹿追】日米共同訓練で5日午前、米軍の輸送機オスプレイが鹿追町の陸上自衛隊然別演習場を離着陸した。周辺は乳牛や馬など家畜が多い地域。地元の酪農家らは「飛来する時間帯など、事前にもっと情報を伝えてほしい」と望んでいる。
オスプレイの飛来情報はこれまで、北海道防衛局から鹿追町役場に前日の夕方から夜にかけて入っている。役場は情報が入り次第、町のホームページや防災放送で町民らに伝えている。今回の訓練では、期間前の9月28日と、訓練が始まった10月1、3、4日にそれぞれ、翌日に飛来予定と知らせている。9月29日には飛来中止の連絡があった。
ただ、飛行予定時間や経路などは役場にも連絡されていない。飛来予定の日は、町職員が、飛行による音や家畜への影響がないかを確認している。5日は10カ所と演習場が見渡せる扇ケ原展望台に配置した。
演習場近くの酪農業の60代男性は、オスプレイの音よりもヘリコプターが低空を飛行した音の方が大きいと感じたという。
普段から自衛隊のヘリが近くに着陸したり飛行することがあり「牛は慣れているのか、走りだしたり暴れることはなかった」とする。町によると、放牧されていた牛も変わった様子はなかった。
この男性は演習場で訓練することに理解は示すが、「事前に分かれば牛舎に人を配置して、牛が暴れたときになだめたりできる」と話す。牛が骨折や脱臼すると、治療することができず、回復する可能性が低いことから廃用するしかないという。「訓練なのだから飛行時間など秘密にしなくてもいいのでは。せめて午前中とか、午後に来る程度でもいいので、もっと知らせてほしい」と強く望んでいる。
訓練は1日から14日まで、同演習場や上富良野演習場(上川管内上富良野町など)、矢臼別演習場(根室管内別海町など)などで実施している。参加している航空機は米軍のオスプレイの他、大型ヘリや対戦車ヘリ、陸上自衛隊の多用途ヘリなど。
オスプレイは期間中、陸自丘珠駐屯地(札幌)がある丘珠空港を拠点にしている。9月30日には十勝で初めて飛行し、新得や鹿追、士幌、足寄の上空を通過。その後も数日、上空を飛行している。
5日は、午前11時半ごろ米軍の大型ヘリ2機が狩勝峠方向から鹿追市街地上空を通過し、数分後、1機のオスプレイが続いた。オスプレイは同演習場に着陸し、数分後に離陸して同峠方向に飛び去った。大型ヘリなどは急降下・上昇を繰り返し、午後2時過ぎに機影はなくなった。(平田幸嗣)
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