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孤のとなりに 第2部~出産・子育て編(下)「SNSでの相談 1割」

ぷれいおん・とかちの「赤ちゃんの日」。月2回、母子が自由に交流している

コロナ禍の母親をつなぐ
 十勝管内の0~6歳の子どもを持つ保護者のおよそ10人に1人が、SNSやインターネット上で子育て相談をしている-。NPO法人子どもと文化のひろば「ぷれいおん・とかち」(帯広)と帯広大谷短期大学が昨年12月に行った「乳幼児の生活と子育て調査」で、関係者の想像よりも多くの保護者がネットを頼りにしていることが分かった。

 質問は保護者に対し、子育ての悩みの相談先を聞くもの。半数以上が配偶者や友人、親きょうだいら身近な存在を頼りにしている中、重複もあるが約11%が「SNS」や「インターネット」と答えた。「コロナ下で対面の育児相談の場がなかなかない」と従来の子育て支援が行き届きづらい現状や、「直接人と会うのは苦手。ネットで気軽に作りたい」という現代ならではの意見が寄せられた。

 「インスタグラム(SNSの一つ)を通じて子どものことを発信することもあるし、自分の時間に合わせて楽しめる」と、1歳の長女を育てる女性(29)は話す。昨年春に帯広に移住し、コロナ禍に加えて親族や知人がいない環境で初めての育児。孤独を感じることも少なくなく、同様の境遇の母親らとつながれるSNSは楽しみの一つだ。

悩み相談や雑談などが書き込まれた「ママトーク」の掲示板(ママトーク提供)

 リアルに相談できる機会を奪うコロナ禍も、母親をネットに向かわせる。母親同士をつなぐマッチングアプリ「ママトーク」(本社東京)は、2019年10月のリリースから今年2月までのマッチング数が30万件を超え、十勝でも100人以上が利用している。近くに住む登録者を探せ、子どもの年齢や母親の働き方、趣味など共通点のある人と知り合える。悩み相談や情報交換ができる掲示板も多くのママを引きつける。

 登録者は妊婦から2歳ごろまでの子どもの母親が多い。3歳未満の子どもを持つ母親は、幼稚園の教諭や友人など相談できる存在ができづらく、孤立しやすい社会背景があるとみられる。ママトーク代表の持田裕子さんは「コロナで子育て支援センターの利用制限などがあり、悩みを共有できる人と出会いづらい現状がある。アプリでは共通点が分かるので友人を作りやすい」と話す。

 一方で「(ネットでつながる相手は)子どものことを直接知っているわけでもないし、多くの情報が手に入る分、真に受けすぎると追い詰められることもある」(5カ月の長男を育てる帯広市在住の28歳女性)と、一定の距離を保って活用している人も少なくない。

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 「ぷれいおん・とかち」(西20南5)はコロナ下だからこそ、リアルに母親が集える場所を大切にする。昨年5月からは、妊婦や乳児の親を主な対象とした「赤ちゃんの日」を月2回設けた。特にプログラムはなく、参加者は日常の出来事を話したり、離乳食をあげたりして思い思いに過ごす。インスタグラムを楽しむ前述の母親も参加し、「SNSとは別に、身近に助けを求められる環境がここでできた」と喜ぶ。

 核家族やシングルマザーの割合が全国的に高まり、相談相手がいない母親は多い。身近に頼れる人がいたとしても、環境が大きく変わる出産・育児期間中は孤立感を抱きやすい時期。母親が追い詰められていく様子は外から見えにくい。親や友人などリアルな支えと共に、公的機関や民間のサービス、インターネットやSNSなどさまざまなより所が、社会に求められている。(松田亜弓)


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