上士幌出身・高3五十嵐さん、日糧製パンとクリスマスケーキ共同開発 上士幌
【上士幌】町出身で三笠高校(三笠市)製菓部に所属する3年生の五十嵐紗楽さん(18)らが日糧製パン(本社札幌)とクリスマスケーキを共同開発した。五十嵐さんは「もっとたくさん経験して、将来は自分のお店を開きたい」と青写真を描いている。
日糧製パンによると、クリスマスらしい特別な時間を家族がだんらんして過ごせる「赤と黒」をイメージしたケーキを課題として同校に出した。五十嵐さんは長田琴詠さん(18)と2人で「星夜のショコラ」というチョコレートケーキを考案して作った。
ケーキは、濃厚なガトーショコラや甘さ控えめなビターショコラムースをチョコでコーティングし、甘さや食感を楽しめる仕上がりになった。2人は配合や焼き方を変えながら、味の改良を重ねた。小さな子どもから大人まで、笑顔いっぱいのひとときを味わえるようにと思いを込めて作業した。
五十嵐さんは小さな頃に物作りを得意とする父親の姿を見、母親が作るお菓子を食べて育った。パティシエを題材にしたアニメも見て「お菓子を作る職人になって、多くの人に食べてもらいたい」と夢見るようになった。
パティシエを目指すために、入学した同校の環境は想像以上につらかった。仲間や先輩とのコミュニケーション、カフェでの接客は厳しく、ケーキ作りには卓越した技術、美を追求する力、完璧さが常に求められプレッシャーに押しつぶされそうになったという。
支えになったのは家族の存在だ。五十嵐さんは電話で母ルミコさんから「自分で決めたことだから、もう少し頑張って」という声援を受け、諦めずに前を向いた。持ち前の行動力で挑戦し、和菓子・洋菓子を中心に技術習得に励んでいった。
腕を磨き続けた努力が実り、参加した高校生スイーツレシピチャレンジ(2020年)で「二ツ星レシピ賞」、今年開かれたハイスクールパティシエロワイヤルでは「審査員特別賞」を受賞。学んだレシピを応用して新商品を開発するなど心掛けた。
娘の成長にルミコさんは「大会で入賞したケーキが実際に店頭で販売されているのを見た時は本当にうれしかった。ケーキはまろやかでおいしく、感動した」と目を細める。
五十嵐さんは卒業後に十勝に戻り、洋菓子店で働く。「自分の作ったお菓子を食べておいしいと喜んでもらえるように、笑顔や幸せを届けたい」とほほ笑む。
星夜のショコラは直径約15センチ、3456円。道内で販売する。(大健太郎)