帯広三条高校教諭でバドミントン国際審判員の櫻井さん オリ・パラで線審務める
帯広三条高教諭で道内では唯一、バドミントン国際審判員の資格を持つ櫻井学さん(42)が、東京五輪の同種目で審判(線審)を務めた。アジア大会などではこれまで何度も主審を担ってきた櫻井さんだが、五輪の舞台は初めての経験。1日からは東京パラリンピックに線審として派遣されており、「責任感を持ち、気を引き締めて臨みたい」と話している。
櫻井さんは帯広出身。豊成小、第一中、帯広三条高校卒。大学卒業後に英語教諭に。バドミントンは中・高校の部活動で励んだ。審判を目指したのは、初めて勤めた音更高でバドミントン部顧問を任されたのがきっかけ。徐々に関係者との輪が広がり、英語ができてバドミントンに明るいことから、道バドミントン協会から国際審判員への挑戦を勧められた。
国際審判員は北海道から過去にはおらず、現在も国内に13人のみ。競技規則や判断の速さを磨き、周囲のサポートを得て、2014年に台湾・台北で合格を果たした。「国際審判員の先輩方に分からないところを聞き、本当に優しく教えてもらった」と櫻井さん。合格時、台北での大会に参加していた永原和可那選手(芽室町出身)らからも祝福されたという。
東京五輪のバドミントン競技では、国内の国際審判員のほか、世界から線審が20人、全国から約50人の1級審判員らが参加。櫻井さんをはじめ日本の国際審判員は通訳なども担当し、海外の審判員と日本の審判員の懸け橋にもなった。
コロナ禍で会場や滞在ホテル以外への行動が制限され、櫻井さんは海外からの審判員が望む土産品を聞き取り、インターネット通販でホテルに届くよう計らうなど「できる範囲で、海外からの審判員たちへのおもてなしを心掛けた」。
他の大会との違いを感じたのは選手の雰囲気。「緊張感が違う。選手が五輪に懸けてきた思いが伝わってきた」。バドミントン混合ダブルスの渡辺勇大選手・東野有紗選手=ワタガシペア=の3位決定戦も担当、銅メダル決定の瞬間は「鳥肌が立ち、泣きそうになった」という。
パラリンピックのバドミントンは今大会から採用された新種目で、5日まで行われる。新型コロナウイルスの脅威が増す中での参加には「名誉なこととは思うが、コロナで命を落としている人もいる中では手放しには喜べない気持ちも」と複雑な思いもある。それでも、「第1回に携われたことは光栄。職場の先生方など周りの皆さんの支えに感謝し、謙虚に職務を全うしたい」と気を引き締めている。(松田亜弓)