小麦収量「平年以上」 最終盤「細粒傾向」の声も
十勝管内で今年の秋まき小麦の収穫作業が最終盤を迎えている。一部には7月中旬からの高温と少雨による記録的な渇水傾向の影響も見られるが、農家の多くは「平年以上」の手応え。収量は豊作だった2015年や17年と遜色ないと評する声もあり、過去最高も期待される。
十勝総合振興局によると、秋まき小麦の収穫の進捗(しんちょく)は1日現在で83・2%。収穫始めは平年より2日早い7月23日、収穫が全体の40~50%に達した「収穫期」は平年より3日早い同26日に迎えた。
管内JAなどによると、各地域とも降雨がなく、収穫作業は順調に進んだ。8日から「雨予報」のため、7日までに大半の地域で、ほぼ終えたという。
4日に収穫作業を行った幕別町の農家は「今年はいいね」と笑顔。帯広市議会の視察(7月29日)に対応したJA帯広大正の森和裕組合長も「生育が良く、歩留まりが良ければ、それなりの収量になるかもしれない」とする。
管内JAからの報告を受けた十勝総合振興局の水戸部裕局長も「収穫作業も順調に進み、収量も良く、穂発芽も少ないと聞いている。十勝農業のいいスタートを切った」と話す。
ただ、実については「夜の高温を受け、決して太くはない」(鹿追町の農家)、「茎数が多かったため、細粒傾向」(帯広市上帯広の農家)と、7月下旬の猛暑と少雨の影響を少なからず受けた様子。芽室町の農家も「平年以上と思えるが、7月に一雨があればベストだった」とする。
小麦は、日照による光合成で最後まで養分をため込み、最低気温が低いことでその養分を保持する。今年は、7月21日に迎えた成熟期以降は真夏日が続いた。
十勝指導農業士会の坂東隆幸さん(62)=芽室町=も「さすがに丸々と太った実とまでは、なっていない」し、「今年は土壌などのほ場の違いや、開花期の時期が遅かったなどで、地域や個人差が見られるのでは」とする。最終的な作柄は調製作業で確定する。(松岡秀宜)
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