消防車をマイカーに 新得
【新得】消防ポンプ自動車を自家用車にしてしまった人がいる。町内の自営業廣瀬量平さん(47)がその人だ。「えらいもんを買ってしまった」と笑いながらも、「大きいボディーと丸いライトが好き」と往年の名車・日産サファリの魅力を語る。
サファリが「好きすぎて」と話す廣瀬さんは現在、同型のサファリを2台所有し、これが3台目。2年前、官公庁のネットオークションに出品されていた「サファリ消防車」(1994年式、FGY60型)を落札した。
栃木県内の消防団に配備され、94年から25年間活躍して任務を終えた車両だ。ボンネット周りが四角張ったジープ型シャーシが特徴で、山岳地や積雪路では抜群の走行性を誇るが、同型の生産は98年に終了している。「ネットで見て即決した。動態保存して残したかった」と購入の動機を話す。妻の裕美さん(43)は「クルマ好きとはいえ、まさか消防車を手に入れるとは」と苦笑いする。
排気量4200cc、5速マニュアル。使用頻度が低いために走行距離は5800キロ。後部に消防用の架装が施されているが、ダブルキャブ型(2列座席)で5人乗車できる。両サイドには吸水管なども装備され、消防車としての機能もまだ現役という。後部荷台にはほろが付き、レトロ感が漂う。
東京にいる四駆仲間の協力を得て、フェリーで北海道へ渡し、受け取った江別市から自宅まで走ったのがこれまでの遠距離走行という。管内をドライブ中にすれ違ったパトカーの警察官から「がん見」されたこともあったと笑う。
自動車登録の手続きも自分で行った。営業車ではないので自家用扱いだが、車検証の「車体の形状」は「ポンプ車」となっている。本物と間違わないように車体の前後には「自家用」と表記し、個人が趣味で乗っていることをアピールしつつも、ドライブ中に火災現場に遭遇したときに備え、消火器を積載しているという。
このままの姿で大切に乗り続けるつもりの廣瀬さんは、「走っている赤い車を見かけたら手を振って」と休日のドライブを楽しんでいる。(佐々木健通信員)