高校の修学旅行 柏葉、芽室、広尾が中止
新型コロナウイルスの感染拡大で、今年度の修学旅行が実施できていない十勝管内の13高校。行き先の京都などで国の緊急事態宣言が延長されたことなどを受け、4校が中止を決めたり、中止の方向で検討したりしている。感染症収束が見通せない中、3月に出発予定の学校関係者も、祈るように状況を見詰めている。
「実施は厳しいと思っていた。ユニバ(大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパン)に行きたかったけど、今の状況では仕方ない」
修学旅行の中止が決まった帯広柏葉高2年の女子生徒は、そう肩を落とす。
同校の2年生約280人は3月5、6日に2班に分かれて出発し、関西方面に行く予定だった。だが今月10日、生徒に中止が伝えられた。吉瀬献策校長は、京都、大阪の宣言期間(3月7日まで)とかぶることに加え、「旅行先の再拡大も懸念され、(宣言が)解除される見通しもなかった。どこかで(実施か中止か)決めねばならず、苦しい判断だった」と打ち明ける。
ただ、仲間と思い出をつくる修学旅行は、高校生活の一大イベント。吉瀬校長は「生徒の気持ちに寄り添った代わりの行事をこれから考えたい」と話す。
管内では、芽室高と広尾高も中止を決め、幕別清陵高も中止の方向で検討している。広尾高によると、昨年12月の保護者向けアンケートでは、大多数が道外への修学旅行の実施に同意せず、行き先が道内でも参加を望まなかったという。
士幌高と清水高は関西を避けて旅程を組み直した。
道教委によると、道内では1月末時点で、札幌市立を除く公立校249校のうち、7割近い165校が未実施。道教委は可能な限り、年度内に行うよう求めてきたが、中止の場合は代替行事なども検討するよう各校に呼び掛けている。
一方、管内では行き先を道内に変更するなどして、実施の可能性を探る学校もある。
帯広緑陽高の2年生約160人は3月10~12日、網走市と阿寒湖を訪れ、ワカサギ釣りやスキーなどを楽しむ予定。行き先は当初の「関西、東京」から「九州」「関西」など二転三転したが、2月上旬の生徒アンケートで大多数が道内を望んだという。更別農業高も道内で検討し直している。
帯広南商業高は翌年度に延期するものの、「3年生は部活動の大会や就職活動などが控えている。現時点で時期は全くめどがついていない」とする。
これから実施する管内のある高校の管理職は、修学旅行を含めた一連のコロナ対応に触れ、「コロナがなければ、ここまで苦労しなかった。学校の苦しい胸の内も分かってほしい」と理解を求めている。