帯広市と釧路市の人口、21年中にも逆転の可能性
住民基本台帳に基づく2019年(12月末)の人口統計によると、道内5位の釧路市が16万8086人に対し同6位の帯広市は16万6043人で、その差が2043人にまで縮まっていることが分かった。両市とも人口減が進んでいるが、釧路の減少ペースが帯広を上回っており、21年中にも帯広が釧路を逆転する可能性が出ている。
19年人口は帯広市が前年比846人の減少だったのに対し、釧路市は倍以上の2278人の減少。同程度の減少率が続けば、単純計算で21年中に逆転する見通しとなっている。
両市とも転出超過の社会減が続き、近年は少子高齢化を背景に自然減に転化。釧路は社会減の傾向が顕著で、昨年は676人と帯広(125人)の5倍以上となっている。
釧路市は1980年代以降、水産業や石炭産業など地域経済の低迷で人口が流出。近年は水産など食の高付加価値化や観光産業の振興などで、雇用創出の取り組みを展開している。
帯広市は農業が堅調に推移し、関連産業に幅広く効果が波及。道東自動車道の札幌延伸以降、釧根・オホーツクと札幌圏の中間に位置する立地を背景に、事務所や物流拠点を帯広や近隣町村に集約する動きも出ている。
国立社会保障・人口問題研究所などのデータを基にした帯広市の資料によると、道内主要市の人口順位で帯広は2065年に札幌、旭川、苫小牧に次いで4位になる推計もある。
帯広市政策室は両市の人口動態について、「相対的な減り方が違うだけで順位の変動自体に大きな意味はない」と冷静な受け止め。道東での拠点性が十勝・帯広の経済基盤を支え、人口にも影響しているとみており、「十勝・帯広の優位性を地域の活性化につなげていきたい」としている。(安田義教)