農協取扱高、初の3500億円超えか
十勝管内の24JAが取り扱う2019年産農畜産物の総額が過去最高を更新し、3500億円台も視野に入っていることが、関係者への取材でわかった。生乳生産など酪農・畜産は堅調に推移、畑作も小麦を中心に豊作基調となったのが要因。JAネットワーク十勝は「十勝農業ビジョン2021」(17年策定)で、21年の目標を3500億円に設定しており、2年前倒しで目標をクリアする可能性が強まっている。
JA取扱高は十勝地区農協組合長会、十勝農協連、十勝総合振興局がまとめ、毎年12月下旬に公表している。最高は17年産の3388億円だった。
今年の管内の畑作は、干ばつの影響で豆類など一部の生育は伸び悩んだが、平均気温、日照時間ともに平年を上回り全体的に豊作基調となった。
秋まき小麦はホクレンの取扱量が2年ぶりに20万トンを回復、収量・品質ともに良好だった。ジャガイモも肥大時期に、天候に恵まれて平年作以上に。小豆などで生育のばらつきが見られた豆類は、不作とはいえ前年作は上回るとみられている。ビートは糖分の低さ(16%台後半)を収量でカバーする見通し。
酪農は夏場の高温で生乳生産が鈍ったが、乳量は規模拡大などで前年比3%増。肉牛の個体販売は一時の高値傾向に一服感があるが、安定した価格で推移した。酪農・畜産は今年も総じて好調だった。
関係者は「昨年2000億円を突破した酪農・畜産が今年も良い状態が続いた。畑作は小麦の結果が良く、豆の不安要素はあるが、昨年を下回ることはない」と分析。十勝中央部のJA幹部は「うちの農協だけを見ると過去最高水準になりそう」と語る。
JA取扱高は15年に初めて3000億円に到達。18年は天候不順や胆振東部地震による大規模停電(ブラックアウト)の影響が懸念されたが、過去2番目の3320億円となった。3500億円に到達すると、都道府県別で5位の宮崎県(17年・3524億円、農水省まとめ)と同規模になる。(安田義教)