「幻の橋」姿現す タウシュベツ川橋梁 上士幌
【上士幌】厳寒期を迎えた町内の糠平湖で、湖底に沈んでいた旧国鉄士幌線の橋の一つ「タウシュベツ川橋梁(きょうりょう)」が全景を現した。老朽化により崩れつつあるコンクリート橋を一目見ようと、連日多くの観光客が訪れている。
タウシュベツ川橋梁は、1937(昭和12)年に完成した全長130メートル、高さ約10メートルのアーチ橋。ダム湖の水位によって姿を現す「幻の橋」として人気を集める。水没の繰り返しなどで近年はコンクリートの劣化が激しく、一部で崩落が進んでいる。
例年この時期から8月ごろまで橋の景観が楽しめるが、昨夏は大雨の影響で川の水位が急上昇し、6月に沈んだ。水量が多いため姿を現すのが遅れることも予想されたが、発電により水位が順調に下がり、例年通りに落ち着いた。
タウシュベツ川橋梁へは五の沢橋梁から片道2キロの道のり。湖面いっぱいに広がる雪原をスノーシューを履いて進むツアー客らの姿が多く見られる。米国から友人と訪れた自営業の浅尾一郎さん(74)は「想像以上に大きく迫力がある。朽ちていくコンクリートに歴史を感じる」と感激した様子だった。
損傷が激しい橋の中央部は、コンクリートや鉄骨が剥がれ落ち、崩壊が刻々と進んでいることがうかがえる。
NPO法人ひがし大雪自然ガイドセンターの河田充代表は「完全な姿で見られるのもあとわずかかもしれない」と話している。
同センターでは今月末まで、タウシュベツ川橋梁の見学ツアーを行っている。問い合わせは同センター(01564・4・2261)へ。(安倍諒)