以平地域連携型雇用 十勝スカイアースの選手が就農
帯広市内の以平町でダイコンやナガイモなどを生産する農家7軒は、連携して雇用を生み出す「以平地域連携型雇用」を開始した。農業地域の課題の一つ「労働力」の確保が狙い。この制度の利用者の1号として、Jリーグ参入を目指すサッカーチーム「北海道十勝スカイアース」の松尾雄斗さん(22)=帯広市出身=が就農した。松尾さんは「サッカーでの結果を残しつつ、農家の力になりたい」と意気込んでいる。
関係者によると、労働者1人を通年雇用するには、最低でも約250万~300万円の費用が掛かるという。中小規模の農家1軒で雇うのは厳しいのが現状だ。
6軒の農家で資金を出し合い、アグリファッショングループ(帯広、橋爪恒雄社長)が代表して1人を雇用し、繁忙期に各農家へ派遣するシステムを整備。繁忙期は集中するため、足りない人材は同社のガールズ農場で働く2人を派遣して対応する。参加する農場の岡崎守さん(50)は「労働者不足の地域にとっては画期的」と話す。
「北海道十勝スカイアース」が、昨年12月に発足したことも後押しとなった。チームは、農業とスポーツの融合を掲げており、選手はプロ契約のほか、大半は畑作や酪農などに従事しながら練習に打ち込む。
松尾さんは帯広南町中卒業後、札幌市の高校に進学し、北海道コンサドーレ札幌のユースに在籍。阪南大学卒業後、興味のあった農業とサッカーを両立できる同チームの存在を知った。「自分の興味のある仕事で生活資金を得ながら、夢に向かって頑張れるのは、これ以外ではできない」(松尾さん)。仕事後に練習し、土、日曜に試合をするスケジュールをこなしていく。
同制度は農業の閑散期にシーズンを迎える冬季スポーツ選手に適している。橋爪社長は「今回の事例が、人手不足を解消しながら地域で若者を育てる1つのモデルケースとなれば」と話している。(牧内奏)