世界パラ陸上で治療活動 20年東京も意欲 独在住の細田さん
足寄町出身でドイツ在住の細田裕二さん(38)が7月に英国ロンドンで開かれた「世界パラ陸上選手権大会」で、徒手療法「オステオパシー」を行う医療のボランティアスタッフとして活躍した。細田さんは「多職種連携のチーム医療の中でオステオパシーの長所を改めて実感した」と話し、2020年東京五輪での医療支援も目指している。
細田さんは足寄高を卒業後、米国に留学。その後英国に移り、政府認定のオステオパシー免許を取得した。現在はミュンヘンの個人病院に勤務して10年目となる。
細田さんは大会期間(7月14~23日)中の6日間、競技トラックに隣接する総合医療クリニックで治療スタッフのシフトに入った。
同クリニックでは、オステオパシー長が競技場を歩き回って選手と会話する様子が参考になったとし、「積極的にオステオパシーについて発信することが治療者、選手の双方にとってベストだと感じた」と振り返る。
日本代表の選手団と交流したほか、国際色豊かな選手たちに対応。英語が通じない場合はジェスチャーや絵、数字などを書いて治療した。「足が切断されていても、脊髄の問題を抱えていても、治療に対する反応の遅さは感じなかった」とさまざまな障害のあるアスリートも診た。
オステオパシーは現在、日本政府に医療として認可されていない。細田さんによると、十勝にも同業者がいるが、仕事内容について社会的になかなか理解してもらえないのが現状だという。細田さんは日本オステオパシースポーツケア協会の一員として「東京五輪やその後も見据えてオステオパシーをアピールする必要がある」と話している。(松村智裕)
1874年に米国で登場した徒手治療技術。人体構造に働き掛けて、身体の持つ本来の機能を取り戻す保存治療法。北米や西ヨーロッパなどでは専門医療技師として扱われ、世界レベルのスポーツ大会でも採用されている。