全国の伸び下回る 十勝のふるさと納税
ふるさと納税制度で十勝管内19市町村が2016年度に受納した寄付金額は39億5365万円で、前年度比23%増加した。ただ、返礼品の取り組みによって自治体ごとの明暗が分かれる結果となった。また、前年度比72%増となった全国に比べると伸び悩んでおり、過熱する返礼合戦の中で十勝ブランドが埋もれている様子がうかがえる。
豪華な返礼品と、寄付を生かした子育て支援策などで全国的に注目される上士幌は38%増と堅調。昨年9月に返礼制度を導入した豊頃は14倍、15年12月に返礼を始めた幕別も3・3倍と大幅に寄付を増やした。
一方で、早くから返礼品を取り入れていた浦幌は前年度に比べ3分の2、ピークだった14年度比では半減。「他の自治体も返礼品を導入してきたことで、取り合いになっている印象」(まちづくり政策課)という。音更は15年度に前年度から倍増させながら、16年度は苦戦を強いられた。「他のまちがイベントなど新しいことをどんどん仕掛ける中で、前年同様の取り組みで埋もれてしまった。新しいものを考えていかないとならない」(企画課)と危機感を募らせる。
鹿追は新たな返礼品を投入し続けているが、寄付は前年度から半減した。新アイテムは、全国の自治体の返礼品を紹介するポータルサイトで「最新情報」のコーナーに掲載されるが、他の自治体から次々に新しい物が出てくるため、反応が良いのは掲載から1、2日だけという。また、管内町村の多くが畜産品など同種の返礼品を採用している現状を踏まえ、「十勝の中で、十勝ブランドを使って寄付の奪い合いになっている面もあるのでは」(商工観光課)とみる。
過熱する返礼品競争に対し総務省は4月、返礼品の価格を寄付額の3割以下にするよう通達を出した。ただ、強制力はないため、返礼率の高い自治体に寄付が流れることも懸念される。ある町の担当者は、「他のまちがどう動くのか分からず、今後、返礼品の調達やPRにどれだけ経費を掛けていっていいのか迷っている」と話す。
(丹羽恭太)