藤井四段効果で十勝も将棋人気広がる
将棋の最年少プロ棋士、藤井聡太四段(14)が歴代単独2位となる公式戦25連勝を記録して脚光を浴びる中、十勝でも将棋人気が広がっている。無敗を続ける中学3年生に刺激を受け、将棋を始める子どもも。盤上の熱戦を楽しむ小・中学生の姿が管内各地でみられる。
帯広市児童会館が主催し、同館で毎月第2土曜日に開かれる「親と子のエンジョイ将棋」。10日は今年度最多の37人が参加した。双子で帯広明和小6年の富樫厚介君(11)、昭文君(11)は「藤井四段は憧れの存在」と声をそろえる。鹿追小5年の熊谷陽太(ひなた)君(10)は「藤井四段はすごい。自分もプロ棋士になりたい」と目を輝かせた。
4月は30人、5月は34人と増加傾向。担当する同館の須藤剛志係員は「昨年度も毎回30人程度だったが、今年は初めての参加者がかなり増えている。7月以降はさらに増えそう」と話す。
カルチャー教室「かちまいアカデミー」(長崎屋帯広店4階)の「こども将棋教室」は定員16人でキャンセル待ちの状態が続く。14年4月スタートで当初から人気はあったが「最近は問い合わせが多い。電話口のお母さんから藤井四段の話がよく出る」と同アカデミーの齊藤亜紀スタッフ。
3月に市内で開かれた第43回全十勝小中学生将棋大会は小・中学生86人が出場。少子化の影響から参加者は年々減少を続けていたが、今年は「久しぶりに参加者が微増した」と関係者は喜ぶ。
藤井四段の人気に加え、市内では2月から5月にかけて「聖の青春」「3月のライオン」前・後編と、若きプロ棋士を主人公とした映画が相次いで上映された。日本将棋連盟十勝支部の中川拓哉幹事長(26)は「藤井四段や将棋映画をメディアがたびたび取り上げてくれるため、あまり関心のなかった人の目に触れる機会が増えた。その効果を実感している」と話す。
十勝支部は、日本女子プロ将棋協会所属の女流棋士、渡部愛(わたなべ・まな)女流初段(23)を輩出するなど、以前から活動は盛ん。支部の月例会には腕自慢の小・中学生が集う。帯広柏小2年の一戸颯太(ふうた)君(7)はすでに大人と互角に渡り合うなど実力者も育っている。
昨年夏には、藤井四段が通った「ふみもとこども将棋教室」(愛知県瀬戸市)を運営する文本力雄さんが知人を訪ねて来勝。十勝支部の例会に参加して子どもたちと対局する一幕もあった。
小泉正寛支部長(61)は「藤井四段に憧れて、子どもたちが将棋を始めてくれるのはうれしい。将棋は礼節を学ぶ機会にもなる。ぜひマナーと棋力を身に付けてほしい」と期待を寄せている。(松村智裕、池谷智仁)