はり絵「たぬくん」岩手へ 大谷短大卒業の岩崎さんら手作り
被災地にはがき100枚
「高齢者元気に」
【音更】東日本大震災の被災地・岩手県の高齢者を励まそうと、帯広大谷短期大学(田中厚一学長)の昨年度の卒業生が手作りの「はり絵はがき」100枚を制作した。近く現地に送る予定。中心となって取り組んだ岩崎真子さん(20)=鈴蘭保育園勤務=は「はがきを見て、心が明るく元気になるきっかけになれば」と願っている。
はり絵はがきは岩崎さんの母ゆう子さんが考案。包装紙や身近な紙を利用した手作りのはがきで、岩崎家では東日本大震災の被災地を元気づけようと家族ぐるみで作り、仮設住宅の被災者らに送っている。
岩崎さんは今年3月、帯広大谷短大社会福祉科子ども福祉専攻を卒業。在学時のゼミの阿部好恵准教授(36)が岩崎さんのボランティア活動を知り、岩崎さんと2人で他のゼミ仲間7人にはり絵はがきを東北に送ることを提案、全員が趣旨に賛同した。
制作作業は、保育実習が一段落ついた昨年11月ごろに着手。岩崎さんが在学中に所属した人形劇サークル「ありんこ」のタヌキの人気キャラクター「たぬくん」をモチーフに、サクラの花が舞うデザインとした。はり絵の原材料となる菓子の包装紙や百貨店の紙袋を集め、短大の教職員にも提供を呼び掛けた。
制作はゼミの時間では足りず、春休みに自主的に学内に集まったことも。サクラの花やタヌキの服など細かなパーツを切り抜き、順に貼り付けていく地道な作業。目標の100枚を作るためには、タヌキの目だけでも200枚を切り抜かなければならない。仕上げとなる3月には、昼食を挟んで5時間にわたり集中的に取り組んだ。
岩崎さんは「心にも花が咲きますようにとの願いと、私たちは被災者のことを忘れていないという思いを込めた。作業の途中では終わるかどうか不安もあったが、100枚が出来上がったときはうれしかった」と振り返る。
はがきは22日以降に、同短大の卒業生が働く岩手県大槌町の特別養護老人ホームと山田町の介護老人保健施設に送る。阿部准教授は「ゼミ活動の中で自主性や主体性を身に付けた、学生たちの集大成のような取り組み」と評価。「若い力をはがきとして受け取ることで、お年寄りが元気になってくれれば」と話している。(鈴木裕之)