がん体験記発売 十勝関係4人も執筆
道内在住の28人によるがん体験記をまとめた本「北海道でがんとともに生きる」(寿郎社)が発売された。20~70代の男女が、全員が実名で、がん告知時の不安や治療への迷い、辛さ、前向きに生きる決意などを自分たちの言葉でつづっている。十勝関係も在住者や出身者ら4人が、自身の闘病生活などを執筆している。
NPO法人キャンサーサポート北海道(札幌、大島寿美子理事長)が2015年1月に始めた「がんの語り手養成講座」を下地とし、16年春にがん患者体験記出版プロジェクトチームが立ち上がった。出版費用の一部はインターネットで不特定多数から資金を集めるクラウドファンディング(CF)で募り、10日に発売された。
十勝関係者は、がん患者・家族の支援会「えんぽっくる」世話人の古城剛さん(帯広)が「ケアラーそしてサバイバー」と題して、自身の闘病や支援の取り組みについて執筆。古城さんは「2人に1人ががんになる時代。同じ境遇のがん患者を勇気づけたい」とし、実名表記については「がんへのネガティブなイメージが少しでもなくなれば」と語っている。
このほかに十勝関係では、管内在住の坪忠男さんが「治験への期待と不安」、帯広で患者サロン立ち上げに尽力した平馬さとみさん(札幌)が「緩和ケアを選択して」、帯広三条高校出身の須永俊明さん(同)が「悪性リンパ腫と言われて」をそれぞれ書いている。
大島理事長は「体験した人でなければわからない“体験知”を一人ひとりの物語で読むことに意義がある。がん患者やその家族だけではなく、悩みを抱えている人が生きる力を得られる本になっている」と話している。
初版は3000部を出版。四六判237ページ。2160円。(松村智裕)