失語症に理解を 初のカフェ 言語聴覚士の川岸さん
26日に帯広で 「障害あってもときめいて」
言語聴覚士(ST)で昨年12月に帯広市に移住した川岸惠さん(61)=芽室町の介護老人保健施設りらく勤務=が26日、市内で「失語症カフェ」を開く。十勝では初の取り組みで、全国的にも珍しい。出身地の福井県で長年、STとして活躍した川岸さんは「失語症の方やその家族が気軽に訪れ、一般の人に病気への理解を深めてもらう場にしたい」と意気込んでいる。
STは言葉によるコミュニケーションに問題がある人に専門的サービスを提供し、自分らしい生活を送れるよう支援する専門職。川岸さんは元日本言語聴覚士協会理事。福井県で失語症友の会の立ち上げに関わったほか、同県第1号のSTとして言語障害のリハビリなどを支援。福井医療短期大学の教授としてSTの養成にも携わった。
「北海道の自然に憧れがあった」と、教授退任後の2015年1月に札幌へ移住。今年6月に帯広市で開かれる「第7回日本脳損傷者ケアリング・コミュニティ学会」北海道帯広大会の実行委員に加わったことから、昨年末に帯広に移り住んだ。
当事者らが交流する失語症カフェは、日本失語症協議会(東京)が昨年9月に都内で初開催。岩手県盛岡市や函館市などでも昨年開かれたが、まだ事例は少ない。川岸さんは「当事者の方が外に出て、安心して話をすることが改善につながる」とし、個人で同カフェを企画した。
当日は帯広市内の「カフェるくら」(西1南8)で午後1時半から同3時まで開く。「障害があっても新しい挑戦をし、ときめいてほしい」と、ネーミングは「第1回失語症★ときめきCafe」とした。コーヒーなどを飲みながら会話やゲーム、カラオケなども楽しむ考え。「失語症の人やその家族でも病気について詳しく知らない人は多い」と、川岸さん自身の講話も予定している。
十勝での活動は始まったばかりで、川岸さんは「患者同士のつながりが広がるよう、継続的にカフェを開きたい。ゆくゆくは当事者中心の患者会立ち上げにつながれば」と話す。
同カフェは料金1000円(ドリンク代500円含む)。定員10人で予約制。車いすでも入場できる。申し込み、問い合わせは川岸さん(090・8371・3939、Eメールkawa07111@gmail.com)へ。(松村智裕)
脳の損傷によって起こる高次脳機能障害の一種。話せない、読めない、書けないなどの症状があり、コミュニケーションが難しくなる。日本失語症協議会によると、全国で推定52万人が患い、障害者手帳を持っていない人を含めれば、潜在的にはさらに多いという。
◆カフェるくら地図
・カフェるくらの場所を示すマップ-Googleマップ