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十勝障害者らも衝撃 盲導犬伴男性ホーム転落

相棒の盲導犬を連れ、「ひやっとすることもあるが、障害者も健常者も互いに一声かける勇気が必要」と訴える森本さん

 東京都内の地下鉄駅で15日に盲導犬を連れた男性がホームから転落し、電車にひかれて死亡した事故は、十勝管内の視覚障害者や関係者にもショックを与えている。車移動が中心の十勝などでは、歩・車道も含めた安全環境の整備を進める必要性や、周囲の気配りが事故防止につながるとの指摘も聞かれている。

 「盲導犬は通常、線路側を歩くよう訓練されているので事故は驚いた。ただ、駅のような場所は風の吹き方や人の雑音の多さで方向感覚を失いやすい。私は1人では行かないし、駅員などの助けを借りる」。帯広市内ではり灸治療院を運営する森本義弘さん(71)は「痛ましい事故」とした上でこう話した。

 森本さんは30代後半に白内障や網膜剥離などのため、死亡した男性と同様に中途で全盲となった。1987年から盲導犬を連れている。十勝で数少ない所有者の一人で現在4代目だ。

 十勝視覚障害者の会の鈴木英晴会長も「同じような(転落などの)事故がなくならない。駅でいえば、ホームドア(線路に面する部分に設置する仕切り)はほとんどついていない。一日も早く必要な対策を講じてほしい」と力説する。

 JR北海道によると、道内は北海道新幹線の駅以外にホームドアはなく、他の駅で進める予定はないという。ただ、「管内では帯広駅に点字ブロックがある。事前に話をしてくれれば、職員が介助などは可能な限り対応したい」(釧路支社)と話している。

 一方、関係者は「十勝で怖いのは車や自転車」と口をそろえる。昨年、徳島で盲導犬連れの男性がバックしたダンプに追突され、新潟で視覚障害の姉妹の1人が軽自動車にひかれてともに死亡した事故もあった。

 森本さんは「ひやっと体験は頻繁。車にひかれた仲間もいる」と打ち明ける。鈴木会長も「電気自動車などエンジン音がしないと判断しかねる」と訴える。

 同会では、ガイドヘルプボランティアくるみの会(久保寧男会長)と合同で2009年から年2回、市内公共施設周辺の信号や点字ブロック、障害物の状況を、行政担当者らとチェックし、必要に応じ改善を求めている。「せっかく整備しても機能的でないこともある」(久保会長)といい、点字ブロックの配置を変更したこともある。

 同会は昨年、会員らを対象にJR帯広駅で初のガイド講習も実施、列車内の移動時の注意点などを確認した。今年も11月に講習を計画する。久保会長は「点字ブロックの上に物を置かない、危険な状況を見たら声をかけるといった周囲の配慮も重要だ」としている。(佐藤いづみ)

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