児童が作った思い出の写真絵本完成 広尾・豊似小
【広尾】豊似小学校(佐藤幸弘校長、児童44人)の全児童が、学校のすてきなところを写真に収めて言葉を添えた「写真絵本」が完成した。改築を予定している思い出深い校舎が、1冊の本となって児童の手元に末永く残ることとなった。
町社会教育委員の松田賢司さん(46)ら地域の6人が企画した「ステキがいっぱいプロジェクト」の一環。児童一人ひとりが撮った写真から1冊の絵本を作ることで、価値観の多様性を認める大切さを学んでもらう狙いがある。講師は芽室町在住の写真絵本作家小寺卓矢さん(44)が務めた。
児童は小寺さんらの手ほどきで昨年7月から校内で「すてきなもの探し」を始め、校庭に咲く花や校舎の換気口にできた鳥の巣など、ふだん何げなく通り過ぎている場所を自らが撮影。添える言葉を考えた。
2月に絵本に盛り込む写真や言葉のレイアウトを考え、小寺さんが仕上げて発注した。全児童分の絵本は3月14日に同校に届いた。A5版96ページで児童1人分の写真を見開きで配置し、添えた言葉と名前が記されている。
22日は、同校で6年生8人が出席して「贈呈式」が開かれた。児童会長を務める五十嵐美雪さんが小寺さんから絵本を受け取った。児童は絵本をパラパラとめくり自分の写真を見つけて感慨深そうに眺めていた。小寺さんは「形(絵本)にすると伝えることができ、伝わると幸せが広がる」と児童に絵本にする意味を語った。
校庭脇の雑草の中で四葉のクローバーが並ぶ写真に「毎日ふまれそうでそわそわしている」と言葉を添えた田中海翔(みなと)君は「あまり自然が見られない都会の子供たちにも見せてあげたい」と慣れ親しんだ学び舎の価値を再認識していた。
完成した絵本は町図書館に置く予定。同校図書室にも保管する。(石原秀樹通信員)