自作スピーカーが自慢の家具職人 まちマイ豊頃編
1年半前に町二宮地区に移住してきた池田守さん(64)は、経験30年以上のベテラン家具職人だ。音楽好きの趣味が講じてスピーカーを手作りし、お気に入りの楽曲を聴きながら“豊頃ライフ”を満喫している。
池田さんはもともと福島県川内村で家具の創作活動を続けていた。2011年3月11日の東日本大震災で福島第一原発事故が発生。同原発から25キロ圏内だったため避難を余儀なくされ、3年前に安住の地を求めて道内を転々とし、1年半前、この地にたどりついた。
離農した一軒家をリフォームした自宅は、おしゃれないすやテーブルなど自作のこだわり家具が陣取る。その中でひときわ目を引くのが、複雑な構造の木製スピーカーだ。
手作りとしは3代目で、スピーカーユニット後方から発生する低音をホーンによって増幅する「バックロードホーン型」。知人から低音域用のウーハーと高音域用のツイーターを譲り受け、インターネットから図面を取り寄せて製作した。
製作費用は1万円程度。ベニヤ板を切断して組み合わせ、わずか3日間で作り上げた。廃レール片を取り付けて重量感を加えるなどの随所に工夫もちりばめ、木組みの仕上がりには職人技が光る。
「何でも作ることが好きだから」。池田さんは出来栄えにも大満足。二宮地区の雄大な田園風景を窓から望みながら、ジャズを聴くのが一番のお気に入りで、「何にも代え難いぜい沢な時間を豊頃で過ごせています」と笑顔を見せる。(富田英明)